不動産登記の本人申請

 不動産業に長年従事していると、不動産取引の場で様々に人と出会います。近頃の携行として、不動産購入者で所有権移転登記を本人申請地で実施したい人がたまにいます。法務局も本人申請を前提としているのか、ホームページに「申請書式」が掲載されていて、しかも説明資料として丁寧な「書き方」まで添付されているから、本人申請したい人にとって心強い限りではないでしょうか。
 本人申請したい人の特徴はおおむね以下の通りです。まず知的好奇心の旺盛な人で、さらに平日に本人申請する時間が取れる人、という条件があるようです。もちろん司法書士に支払う手数料が惜しい、という人もいるような気がします。
 ネット上では本人申請の「手引き」は殆どなく、多くは司法書士事務所が「安く登記を引き受けます」といった宣伝が多く、あまり参考にならないのが実態です。
 本人申請する場合に気を付けることの第一は事前に申請書と付属書類をアウトプットして、すべての項目を書き込んでおく必要があります。なぜかというと、取引の場で売却人(登記申請書では「譲渡人」という)の実印や印鑑証明、さらには登記簿謄本に記載してある譲渡人の住所と印鑑証明の住所が異なる場合には登記簿上の住所から印鑑証明の住所へ移転したことを証する住民票を揃える必要があります。さらに購入物件の固定資産税評価額を記した「固定資産税明細書」の写しを譲渡人から貰う必要があります。それは登記する場合の「課税価格」と「登録印紙税」の算出に必要な資料となります。さらに、取引する不動産の代金支払いの際に受け取る「領収書」も登記申請に必要となります。そうした揃えておくべき書類を取引の前に確認しておくこと失敗がないでしょう。
 もちろん不動産を購入した本人(登記申請書では「権利人」と称す)が申請するのですが、譲渡人も一緒に法務局に出向かないのなら譲渡人の委任状も必要となります。諸々の書類の書き方は法務局のホームページにある「書き方」の注書き通りに記入して下さい。そして申請当日には申請書類に押した印鑑を持参することを、お忘れなく。

2022年12月01日