「不動産ニュース 2022/1/27日付」に以下のような記事が掲載されました。
<国土交通省は27日、新たな国土形成計画を検討するため、国土審議会計画部会(部会長:増田寬也東京大学公共政策大学院客員教授)の4回目の会合を開催した。
今回は、事務局が同計画でポイントとなる「地域生活圏」(人口規模10万人程度を目安とする、一市町村を越えた住民の生活圏域)において、(1)日々の日常生活に必要な機能、(2)生活に必要な所得を得るために必要な機能、(3)日常に潤いを与える文化的な生活に必要な機能、(4)(1)~(3)を支える要素に分類し、今後の対応の方向性等について示した。
例えば、(1)においては、必要なものを購入できる機能の維持・確保等への対応として、中心市街地や商業集積地等で、地域住民のニーズを踏まえ、空き店舗等も活用しながら、新たな需要の創出につながる施設の整備について記載。(2)においては、林業・木材産業の成長産業化への対応において、住宅分野に加えて、耐火部材やCLT等の開発・普及を通じた中高層建築物や非住宅分野での木材利用など、新たな木材需要の獲得が必要としている。
(3)では、子育て支援施設や高齢者対応施設等を複合した施設、居住施設と公益施設等の一体的な施設を整備するなど、子育て・医療・福祉・商業等のさまざまな都市機能を集積し、女性や働く世代も含むすべての世代が効率的にサービスを受けることができ、人々が交流するコミュニティの形成につながるコンパクトなまちづくりを進めるべきとした。遊休施設の交流拠点、子育て支援や介護の場、宿泊が可能なゲストハウスなどへの活用、空き家・空き地等のマッチングサイトの充実、テレワーク拠点やコワーキングスペースの設置、サテライトオフィスの誘致なども示した。
(4)については、災害リスクの特に高いエリアにおける土地利用への対応では、災害リスクを低減させるためハード対策を強化する一方で、災害リスクが特に高い地域における土地利用規制などの土地利用対策等のソフト対策の推進、災害ハザードエリアにおけるまちづくりと連携した開発の抑制や住まい方の工夫、移転の促進などを挙げた。
委員からは「地域生活圏でどういった未来像を描くのか、言及した方がいい。地域生活圏の理想像を冒頭示しては」「項目ごとの地方生活圏の定義・コンセプトを明確にすべき。またデジタルの位置付けを分かりやすく示してほしい」「人口減少局面の中、DX等を踏まえた新しいサービスの在り方が具体的に示す必要があるのでは」等の意見が挙がった>(以上「不動産ニュース」より引用)
文中「DX」とあるのはデラックスという意味ではありません。DX(デジタルトランスフォーメーション)は、「進化したデジタル技術を浸透させることで人々の生活をより良いものへと変革する」というもので、2018年9月に経済産業省が発表した『DXレポート』の中で、「2025年までにシステム刷新を集中的に推進する必要がある」と強調されたことで、多くの企業にとっての喫緊の課題として捉えられるようになりました。
新たな国土形成計画を検討するため、国は国土審議会計画部会(部会長:増田寬也東京大学公共政策大学院客員教授)を開催して、国土形成の未来像を策定しようとしています。そのうち地方に暮らす私たちに関係してくるのは(4)項ではないでしょうか。
つまり「災害リスクの特に高いエリアにおける土地利用への対応では、災害リスクを低減させるためハード対策を強化する一方で、災害リスクが特に高い地域における土地利用規制などの土地利用対策等のソフト対策の推進、災害ハザードエリアにおけるまちづくりと連携した開発の抑制や住まい方の工夫、移転の促進などを挙げた」という個所です。
ハザードマップで危険個所や特別警戒地域を色分けして、それで行政の「防災」に関する役目は終わったとされては敵わない、と思っているところです。危険個所が分かったのなら、その危険を解消なり軽減するのが本来の「防災」ではないでしょうか。
土地を有効利用するのもさることながら、地方では災害を機に地域が崩壊したり衰退することはよくあることです。限界集落が消滅集落になる切っ掛けが悲惨な大規模災害であってはならないと思います。(1)(2)(3)項目で掲げられている内容はすべて(4)の対策があってこそではないでしょうか。都市が存続するには健全な後背地たる地方があってこそではないでしょうか。兵站たる道路や鉄道網もさることながら、山野や河川が健全に機能してこそ農作物が取れ、海産物が獲れるのです。そうした国土の有機的成り立ちを忘れて健全な国土の開発は出来ないのではないでしょうか。