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「TOKYO TORCH」は現代の「戦艦大和」か

 三菱地所は9月17日に東京駅前で進める「常盤橋プロジェクト」の説明会を開き、以前公表した概要に加え、街区名称を「TOKYO TORCH(トウキョウトーチ)」に決めたと発表しました。2027年度に完成予定の高さ390メートルの超高層ビルは大阪の「あべのハルカス」(地上300m)を抜いて、日本一高いビルになるそうです。内部にはホテルやホールを整備する方針で、新型コロナウイルス後の時代を見据えた施策を通じて、幅広い層に親しまれるエリアを目指す、と三菱地所では説明しています。
 しかし、どういうわけか私には先の大戦で時代遅れの巨砲大艦主義の「戦艦大和」が連想されてなりません。漠然とですがコロナ禍により巨大ビルを建設する時代は終わったのではないか、と思われてなりません。
 その地域を象徴する巨大高層ビルを称して「ランドマーク・タワー」と呼ぶのだそうですが、人々の関心は規模やゴージャスさから離れて、簡素さと自然への回帰こそがこれからの時代のコンセプトになるような気がしてなりません。たとえコロナ禍が去ったとしても、以前のような過密や高度集積といった都市のコンセプトは時代遅れのものになるように思われてなりません。
 たとえホテル最上階の広々としたスウィート・ルームに魅力を感じたとしても、それは眼を開けている間のことでしかありません。ホテル本来の「宿泊」であれば、部屋数の多い広々とした空間に高額な宿泊料金を支払うことに「費用対効果」を感じられる人は極めて少数ではないでしょう。
 むしろ機能性や利便性といったことが宿泊施設に求められるなら、東京駅正面のホテルなど都心に用事がない限り「TOKYO TORCH(トウキョウトーチ)」に宿泊する必要はありません。利便性の高いビジネスホテルに宿泊する方が理に適っているでしょうし、家族と共に団欒を過ごすというのであればキャンプ場か隣接するバンガローに宿泊する方が適切かもしれません。
 テレビやマスメディアは広告宣伝収入の関係から「巨砲戦艦主義」にならざるを得ないのかも知れませんが、庶民の関心事はテレビやマスメディアが囃し立てる方向とズレているのではないかと思われるコロナ禍真っ最中の秋ではあります。

2020年10月01日

コロナ後の社会-2-

 先月のブログで「コロナ後の不動産業」はどうなるのか、と私なりに予測してみました。その大前提として現在蔓延している新型コロナウィルスはここ当分の間、二三年は収束しないだろうという前提での予測ですが。
 なぜ当分の間、新型コロナウィルスの蔓延は収束しないと推測するのか。それは未だ特効薬が開発されそうもないからです。加えてワクチンの開発・製造は端緒についたばかりで、これから臨床試験などで認可・実施まで時間がかかるとおもわれます。退陣される安倍氏が来年の早い時期にワクチンを国民全員分を用意する、と発言されましたが、それは恐らく不可能かと思います。なぜなら新型コロナウィルスの変異速度が速く、せっかく開発され製造されたワクチンが的確に効果を発揮するのは困難だと思われます。従来型のワクチンは新型コロナウィルスには通用しないと思われるため、新型コロナウィルスの蔓延は暫くの間続くとの前提で推測するしかありません。
 確かにニューヨークでは一日当たり新型コロナウィルス患者発生人数が10人前後と落ち着いて、ほぼ収束した常態にあります。一時は爆発的な感染拡大に見舞われて、州兵がセントラル・パークに野戦病院のテントを無数に張って感染患者を隔離したほどでした。それは徹底した都市封鎖と自宅待機を強制し、同時にPCR検査をすべての人に実施して、感染患者を徹底して隔離した対策が功を奏したようです。
 しかし日本では「検査と隔離」を極めて限定的にしか実施していませんし、自粛要請も不徹底のまま「GO TO キャンペーン」を始めたため、新型コロナウィルス感染を沖縄をはじめ全国に拡散してしまいました。だから「集団免疫」が定着するまでの数年間は新型コロナウィルスの感染患者は現在の水準で発生し続けると想定するしかありません。
 そうすると、集客産業(エンターティメント、スポーツ・イベント、講演会や講習会、夏祭りや花火大会、等々の観客事業や、冠婚葬祭からカラオケ、飲食業といった「密」が前提となる業界)はまずアウトですし、観光業界も低調なまま推移すると予測するしかありません。
 その反対に多くの人から支持を集めそうなのがネット配信のyuo tubeや個々人が楽しむ登山やキャンプといった野外型の趣味ではないでしょうか。それも有名な場所ではなく、近場の余り知られてない地域密着の山やキャンプ場ではないでしょうか。もちろん、テレ・ワークは常態化するでしょうし、小・中・高校もネット回線を使った授業の実施なども考えなければなりません。
 不動産業界も上述した社会情勢を前提とした事業展開しなければ生き残るのは困難かと思います。ブームが去り価格下落の著しい地方の「別荘地」が見直され、人気物件として掘り起こしが来るのではないでしょうか。そして本格的な「地方の時代」を新型コロナウィルスの蔓延が結果としてもたらすかも知れません。そこに中国とのデカップリングがあって、世界(主として中国)へ拡散していたサプライチェーンの国内回帰の投資が盛んになると思われます。それも地価や規模の確保から大都市圏内ではなく、地方での工場立地を求めるでしょうから、コロナ後のソーシャルディスタンスと相俟って、地方の時代が本格的にやって来ると思われます。

2020年09月01日

コロナ後の不動産

 コロナ後に向かって社会は既に変化しているようです。もちろん不動産関係もコロナ前とコロナ後とで大きく変化しています。
 それを象徴しているのが渋谷駅周辺の貸しビルの空室率だそうです。まだ確かな地区別空室率の統計は出ていませんが、貸しビルに入っている各企業の事務室賃貸の解約が相次いでいる、との情報が流れています。都市開発企業や大手貸しビル業者などでコロナ前に立てられていた事業計画が見直しに迫られるのは必須のようです。
 しかし最も変わるべきはコロナ後の政治ではないでしょうか。コロナ後の落ち込んだ景気対策のカンフル剤として政府は「GO TOキャンペーン」を打ち出しました。「GO TO トラベル」から「GO TO イート」などの旅行や飲食の消費拡大を狙った「GO TO キャンペーン」です。しかし、それはコロナ前の発想でしかありません。人が旅行に食事にと外出して移動すれば確かに消費は増えるでしょうが、それは同時に全国的にコロナの感染拡大をもたらす結果にもなりかねません。
 消費を拡大し経済を動かすにはコロナ後の発想が必要ではないでしょうか。それは人の移動を前提としない経済活動や消費活動に特化すること、たとえばテレ・ワークはもちろんのこと国土強靭化のための公共事業や、海外からの生産工場Uターンの受け皿とすべく工業団地の造成といったインフラ整備で経済を回すことが必要度はないでしょうか。そのためには財政出動こそが必要となるのはいうまでもありません。
 旅行やレジャーに関しても、団体旅行や宿泊施設での大宴会ではなく、個々人か家族単位で自動車を使った移動と密にならないキャンプなどのレジャーを推奨することではないでしょうか。そうした促進策としては高速道路の引き下げや、自然環境に配慮したキャンプ場の整備などが必要です。自動車の移動を前提とすれば深刻な需要低迷に直面している自動車産業にとって朗報ではないでしょうか。
 このブログに関係する不動産業界に対する政策としては大胆な住宅減税を行って、裾野の広い住宅関連の消費と流通を活性化させる必要があります。それも新築だけでなく、中古物件の購入やリファインへの補助制度が必要です。それもバリアフリーといった限定的なリフォームではなく、中古マンションや中古物件全般のリフォームに対する「棲み替え補助金」などの創設が待たれます。コロナ後の生活スタイルの変化に伴い、都市の駅前集中から都市郊外へ、都市郊外から地方へと「生活の質と安全」を求める動きが出ています。この機会を逃さず政府は適切な人口分散化のための政策対応をしてはどうでしょうか。それは震災などの災害対策にもつながるのではないどしょうか。
 IT化社会にとって必須な日本の情報インフラは既に全国に光回線が張り巡らされていて、高速ネットワーク環境では米国以上の世界最先端国家になっています。しかしそうした情報インフラを駆使した日本製のコンテンツやアプリはGAFAに先を越されています。日本政府や日本企業は積極的にネットを駆使するコンテンツの開発に乗り出す必要があるようです。そして学校教育でもそうしたコンテンツ開発のノウハウをしっかりと教えて、AI化社会の未来を見据えた国家戦略が必要ではないでしょうか。コロナ後の未来の世界は人事交流ではなく、情報交流の世界になるのではないでしょうか。情報交流社会になれば人の移動は最低限に抑えられ、しかも地域間格差も解消して地方と都市と均衡ある人口配置が自然と出来上がって来るのではないでしょうか。
 安倍首相は大卒後の一時期、サラリーマンとして製鉄会社に勤務されていたそうですから「鉄は国家なり」という経済哲学はご存知のはずです。国内消費を喚起するにはコロナを契機として社会に形成されたマインドを、鉄鋼などの製造業を中心とした「モノ造り日本」の再生と発展に寄与する方向で誘導する政策こそが必要なのではないでしょうか。「GO TOキャンペーン」で浮かれて「食べ」「歩く」というスタイルは30年も以前のバブル当時の生活スタイルで、それはコロナ以前の発想でしかありません。国民の個々人が家族と地域社会を守る生活スタイルこそがコロナ後の社会に醸成された新潮ではないでしょうか。その新潮に合致した投資と消費の促進策こそが、コロナ後に求められる政治と暮らしのあり方ではないでしょうか。最後に「GO TO トラベル」は英文として誤りです。誰が考えたネーミング化は知りませんが、少なくとも英語圏の人たちから失笑されることは間違いありません。
 いよいよスローガンだけでない、本格的な「地方の時代」が始まる、とコロナ後に期待しているのは私だけでしょうか。

2020年08月01日

コロナ後の不動産考-2-

 先月はこのブログで「コロナ後の不動産業」と題してコロナ後の不動産業の変化を書きました。その中で不動産に対して「駅前から郊外へ」という需要の変化が起きると指摘しましたが、今月は都会から地方へと不動産に対する需要の変化が起きていることを報告いたします。
 自粛要請解除以前から、私の暮らす地方で不動産需要が起きているのではないか、と感じていました。それも地方内での需要拡大ではなく、大都市から瀬戸内海の離島(離島といっても橋で本土と繋がっていて、近くの空港まで車で一時間以内)の土地を探す問い合わせが目立つようになりました。とはいっても、殺到しているというわけではありません。ただ離島の不動産はバブル崩壊以後見向きもされていませんでしたから、俄かに起きた問い合わせに奇異な感を抱いているいうのが実態です。しかも問い合わせの多くが都会からのものだというのが際立った特徴です。
 テレ・ワークの影響で勤労者が瀬戸内海の不動産を求めているのか、というとそうでもなさそうです。むしろIT企業などのような、何処に本社があろうと業績に大して影響のない業態が移転先として問い合わせている、というのが実態のようです。先日も東京のIT企業が離島に千坪ほどの土地があれば社用地として購入したいとの問い合わせがありました。
 南向きの海を見下ろす小高い丘の上にある土地を紹介しましたが、それでも500万円前後という安さです。バブル期には二千万もした土地ですが、バブル崩壊後は地価が下がりを続けて、現在では持て余した地主が500万円で売りに出していた者です。もちろん海沿いの国道から土地への取り付け道路もある立派な造成地です。都心の事務所を借りるよりは離島に社屋を建設する方が安いとのことのようですが、そうした経済的な側面だけでもないようです。コロナ後に生じた人々の心の変化も影響しているように思われます。
 もちろん別荘地や中古の別荘にも問い合わせがあります。バブル崩壊以降手頃な価格に下落した不動産価格とコロナの漠たる不安の日々を都会で過ごした人達のストレスは相当のものだったようで、都市から地方へ、という不動産需要の流れは決して一時的な「コロナバブル」ではないようです。
 羽田へ直行便のある近くの空港まで車で一時間以内なら、離島といっても決して不便な僻地ではありません。もちろん社会インフラとして光回線もありますし、下水こそ「浄化槽」対応ですが、上水道も通っています。年間約3万円払えば漁業協同組合の準会員として釣船を漁港に係船できます。これほど魅力的な環境が整っていれば「地方」が脚光を浴びても当然ではないでしょうか。地方の時代をもたらすのは「経済特区構想」ではなく、皮肉にもコロナ禍のようです。

2020年07月01日

コロナ後の不動産業

 新型コロナウィルス禍はそれ以前と、それ以後とのライフスタイルを変える大きな痕を社会にも残しました。最も大きな変化はテレ・ワークに代表される「働き方」ではないでしょうか。事務所に出社して働くのではなく、家で仕事をするという労働のスタイルを根本から変えるものでした。
 ある意味、それは本社や事務所が不要になるということでもあります。働くために中心市街地のオフィスに通う必要がなくなり、在宅で仕事が出来るという、従来の常識を覆すものです。結果として経営者は中心市街地の高い家賃のオフィスを借りる必要がなくなり、通勤者も駅近くの高い住宅やマンションに暮らす必要がないことになります。
 つまり不動産に対する需要が変化することを意味します。「三密」を防ぐためにも、郊外のゆとりのある戸建てを購入しようとする動きと、良質な中古住宅を購入してテレ・ワークという「働き方」に合わせたリフォームをして、仕事部屋の「書斎」のある住宅で暮らそうとする動きが出てきました。
 それは在宅時間が長くなることから、住宅に対する高い「機能」を求めるようになります。たとえば防音や暖房などの高規格の設備が求められ、災害時にも電源が確保できるように太陽光発電の需要も高まるでしょう。
 反対に経営者はテレ・ワークの導入により街の中心部に借りていたオフィスは不要となり、オフィス・ビルの需要は低下して、オフィスの坪単位当たり賃貸価格は下がるでしょう。そうするとこれまで不動産投資先として保険会社や銀行などが推奨していた不動産投資先は押しなべて価値を下げると考えなければなりません。不動産に対する需要に大変革が起きています。
 そして「仲介」を主体とする不動産業務に対する需要は仕事内容こそ変化しますが、仕事量はむしろ増加すると思います。なぜなら駅近・街中から郊外への移転により「仲介」業務はプラマイ・ゼロとはならず、むしろ中古住宅などに対する相談業務が増えると思われるからです。
 しかしテレ・ワークにより住宅に求める質に変化が起きると思われます。「建売住宅」のような単一規格の戸建ての需要は減少し、人々の住宅に対する「質」こそが厳しく問われる時代になります。それは自宅で過ごす時間が長くなり、憩おう場でもあり仕事をする場でもあるという住宅に対する多様性が求められるからです。自宅で過ごす時間が増えれば、住宅に対する様々な要求は一段と高くなります。それにより高品質の「注文住宅」が増えるでしょう。中古住宅のリフォームにしてもテレ・ワークを前提とした改築になるでしょう。よって坪単価の建築価格は上昇し、郊外の安い宅地を購入することにより建築価格の上昇分を吸収させることになり、高品質住宅へ需要が増大すると思われます。コロナ以後の変化を見定めて、不動産業者も新しい時代に対応する必要があるのではないでしょうか。

2020年06月01日

下がらない固定資産税評価額

 固定資産税評価額は実勢取引価格の70%ととされていました。確かバブルが弾ける前まではそうでした。
 1991年(平成3年)3月から1993年(平成5年)10月にかけてのバブルの崩壊があって、土地価格は釣瓶落としのように下落しました。しかし土地価格の高騰に連動して引き揚げられた固定資産税評価額はバブル崩壊後に土地の価格が暴落しても、それほど引き下げられませんでした。
 現在では固定資産税評価額の方が取引価格を上回っているのさえ珍しいことではありません。例えば瀬戸内海に面し堤防に沿った1,000坪余りの土地は、かつて海洋レジャー産業のマリン・ポートなど立地する地域だった。その土地の当時の実勢価格は数千万円に達していたと思われます。当然、固定資産税評価額も取引価格の高騰に伴って引き上げられました。
 しかしバブルが去ってクルーザーやレジャーボートを所有する人はいなくなり、年間数十万円もの係船料などを負担する顧客はいなくなり、マリン・ポートを運営していた会社は倒産しました。その地域全体が時代から見捨てられたように寂れましたが、更にその後の東日本大震災により「津波」の怖さが深く浸透して、海に面した土地価格は下落の一途を辿りました。昨年のことその土地は100万円で売買されたと聞きました。嘘のような話ですが、それが現実です。しかし固定資産税評価額は1,000万円に高止まりしたままというから驚きます。
 不動産価格は経済情勢により変動します。銀行利回りよりも価値を生む土地であれば需要があって取引価格は高くなります。が、土地価格が土地利用をして得られる価値を下回っていれば買い手需要がなくなり、そうすると土地価格は下落します。
 土地を担保に金融機関から借り入れしている企業もありますから、固定資産税評価額の下落は痛し痒しでもあります。土地価格が下落すれば担保物件の追加を金融機関から要求されるからです。だから実勢価格が下がっているからといって、固定資産評価額を連動して引き下げられては困る人もいるのが現実です。
 ともあれ、件の土地を100万円で購入した人はこの五月に地方自治体から送付される固定資産税の納付書の金額を見て驚くことでしょう。
 現在も地方都市では依然として不動産価格は下落の一途を辿っています。固定資産評価額と実勢取引価格との逆差額は開くばかりです。

2020年05月01日

仮登記の「時効」は?

 不動産業に携わっていますと、時々抵当権や所有権移転仮登記が設定してある物件売買に関する相談を受けることがあります。法律の専門的な相談は弁護士にお任せするようにアドバイスしますが、抵当権はまだしも、仮登記がいかなるものかご理解していない相談者が多いので、簡単にご説明しようと思います。
 まず仮登記にはどんなものがあるか確認しておきましょう。仮登記には次の2種類があります。(ここでは、所有権に関するものを紹介しますが、所有権以外の権利の仮登記もあります。)

 1つ目は当事者間に権利変動が既に生じているのに、登記申請に必要な手続き上の条件が完備していない場合(たとえば、BがAから土地を買い受ける契約を締結し、実際に所有権も移転しているのに、Aがその土地を取得した際にもらったはずの登記済権利証(登記識別情報)を紛失しており、AB間の移転登記申請の際に添付できない場合等)にする仮登記です。

 2つ目は、当事者間にいまだに権利変動が生じていない段階のもので、(1)将来生じる可能性がある権利変動について請求権を保全する場合(たとえば、AがBに対する借金返済を確実なものにする(債務を担保する)ため、返済できないときに金銭の代わりにその土地を提供するという予約(代物弁済予約)をする場合等)にする仮登記や、(2)一定の条件を満たせば権利変動をする予定なのに、いまだにその条件が満たされていない場合(たとえば、AからBへの土地の売買において、Bが売買代金を完済することを所有権移転の条件にしているが、未だにBが代金を完済していない場合等)にする仮登記です。

 登記の目的は、1つ目の例では「所有権移転仮登記」、2つ目のうち、(1)の例では「所有権移転請求権仮登記」、(2)の例では「条件付所有権移転仮登記」となります。

 以上の仮登記に共通することは、将来生じる本登記(上の例でいえば、AからBへの「所有権移転」登記)の順位を確保しておくという効力があることです。つまり、これらの仮登記をしておくと、この登記が本登記になるまでの間に、その物件についてされた第三者の登記を、(その本登記で生じる権利と抵触する範囲内で)否定できるのです。

 たとえば、Bへの仮登記後に、CがAに融資してその土地を担保として抵当権の設定登記を受けたとしても、Bの順位が仮登記によって保全されている以上、Bの所有権移転の本登記がされてしまえば、Cへの抵当権設定登記は効力が否定されてしまいます。

同じように、Bへの仮登記後に、AからXに所有権移転登記がされた場合にも、Bが所有権移転(本)登記をしてしまえば、Bの本登記がXへの所有権移転登記に優先し、Xへの所有権移転は否定されてしまいます。

 しかし「所有権移転請求権仮登記」という仮登記そのもの自体には、消滅時効という概念はありませんが、予約完結権という権利は債権ですので、これを行使することができるとき(一般的には契約締結時)から10年を経過すれば消滅時効にかかることになります。もちろん「時効」の権利を有効にするためには「時効」の援用が必要です。「時効の援用」のためには「時効を援用する」旨を記した内容証明付き郵便を出す必要があります。詳しくは弁護士にご相談して下さい。

2020年03月29日

所有権移転登記の義務化。


 かつてこのブログで「登記簿謄本に記載されている「所有者」が生存していない場合」の不具合を指摘したことがあります。なぜか相続などで土地や家屋を取得しても登記簿に記載することが義務付けられていません。よって利用価値の低い土地や老朽家屋などを取得して固定資産税の支払い義務から免れたいとの思惑から所有権を移転しないケースが多くみらているようです。
 しかしそれでは登記簿上に現実の所有者がいないという不都合が生じていることから、平成30年11月15日に「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」の一部が施行されて、相続登記などがされていない土地や家屋について登記を促す特例が設けられました。さらに一定の手続きを経て、登記簿上に記載されている所有者が現実には存在していない場合などでも、土地や家屋を第三者が有効利用できる制度が設けられました。
 上記の措置法は老朽マンションなどを相続した者が「管理費」や「補修費」が嵩むことから所有権移転しないで空室のまま放置するケースが多発することへの対抗策として制定されたともいわれています。現在はマンション解体などで全世帯の同意を取り付ける必要はなく全体の4/5に緩和されていますが、それでも登記簿上の所有権者の実在が不明などもあって4/5の賛同を得ることが困難な状況に変わりありませんでした。
 上記に掲げた法務省及び国土交通省が所管する「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」は2018年11月より一部施行され、2019年6月に全面施行され、それにより行政が強制執行できるようになりました。
 またこの特別措置法では名義人の死亡後長期間にわたり相続登記がされていない土地についても、法定相続人等を探索した上で登記官の職権により長期間相続登記未了の旨等を登記に付記し、法定相続人等に登記手続を直接促すなどの特例が設けられました。
 ただマンションなどの区分所有不動産の登記に関して、相続した者に幾許かの経済的な利があるか、もしくは損失が負担とならない場合でなければ「相続放棄」が続出するケースも想定されます。「負の資産」と化した老朽マンションを敢えて相続する者はいないと思われるからです。

 上述した通り、2018年11月15日から相続登記が放置される可能性のある土地に対応するために、一定の土地について相続登記の登録免許税の免税措置も開始されました。そして2019年5月17日には、所有者に関する情報が正しく記載されていない「変則型登記」を減らすための法律が可決しました。
 所有者不在による土地が利用できないことによる機会損失や、相続人等の所有者同意を取り付けるのにかかるコスト、固定資産税の滞納などによる経済的損失は国土計画協会の所有者不明土地問題研究会調査によると、2017~40年までの累計で少なくとも約6兆円にのぼると推計されています。日本全国の不動産登記の約20%が所有者不明の不動産といわれる現状を解決するためにも、所有者不明土地の発生抑制・解消に向けて当局が改正法に則って早急に取り組むことが望まれます。

2020年02月29日

「敷金」が制定されました。

 年度変わりを迎えて、転勤や進学などで賃貸契約に遭遇する機会の多い季節になりました。新居へ移転するに際して契約する「賃貸契約」は必ずしも楽しいものではなく、何かにつけて不動産業者の評判を悪くしているのが「敷金」を巡るトラブルです。
 そこで国は120年ぶりに民法改正を行ない、2020年4月1日から「新民法」が施行されることになりました。今回の民法改正では200近くの項目が見直されていますが、その主な改正点は「契約や金銭の支払いに関するルールを定めた民法の規定(債権法)を見直す改正法案」です。その中でも特に不動産業者と一般消費者に大きな影響があるのが「敷金」に関する改正です。
 それはこれまで「敷金」には法的な根拠がなく、慣行として行われていたた問題が多く、「敷金」についてルールを明確にするものです。

 まず「敷金」とはなにかを定義しました。「敷金」とは借主が家賃等を支払えなくなったときのために大家が入居時に預かる保証金のようなものです。その金額はアパートやマンションにより決められており、会社などが借りる場合などだと家賃の半年から1年分くらいのケースもありますが、概ね1ヶ月分〜3ヶ月分くらいが相場とされています。ただし現行の「敷金」は不動産業界の慣習にすぎず、法律で定められているものではありません。そのため「敷金」を巡るトラブルは多く、法的な指針が求められていました。
 今回の法改正で敷金の定義が明確化されました。2020年4月1日以降は名称に関係なく賃料の担保目的ならば「敷金」として定義されることになります。まず賃貸契約を締結する際に「敷金」は何を目的として徴収するのかを明確化しています。
 同時に「敷金」の返還時期についても明確化しておく必要があり、返還時期は「賃貸借が終了して賃貸物の返還を受けたとき」と定められました。また「敷金」の返還金額の範囲についても明文化されました。 
 法務省民事局「民法(債権関係)の改正に関する説明資料」よりますと、敷金の返還金額は「払った敷金から未払い債務額を引いた金額」とされています。未払い債務額とは損害賠償、未払い賃料、原状回復費用などがそれにあたります。基本として毎月の賃料を払っていて、借主の責に帰すべき原状回復負担分がないとすれば「敷金」は原則として全額返還されます。敷金が減額される場合とは通常損耗(賃借物 の通常の使用収益によって生じた損耗)や経年劣化以外の、借主の責に帰すべきとされる損害を回復する場合だけです。具体的には以下に示す通り、通常の賃貸物件使用状況である限り、借主は原状回復費用を負担しなくてよいことになります。
<経年劣化による損耗とは次に掲げるものなど>
 ・家具の設置による床、カーペットのへこみ、設置跡
 ・テレビ、冷蔵庫等の後部壁面の黒ずみ(いわゆる電気ヤケ)
 ・地震で破損したガラス ・鍵の取替え(破損、鍵紛失のない場合)
<借主の責に帰すべき経年劣化に当たらないもの>
 ・引っ越し作業で生じたひっかきキズ
 ・タバコのヤニ・臭い ・飼育ペットによる柱等のキズ・臭い
 ・日常の不適切な手入れもしくは用法違反による設備等の毀損、等

 つまり「借りた当時に戻すのが原状回復」ではないということになります。経年劣化による「減価」は原状回復の対象にならないと明文化したことが今回の法改正の大きな点です。
 借主の負担については、建物や設備の経過年数を考慮し、年数が多いほど負担割合を減少させる考え方を採用しています。(このことを減価償却といいます) 例えばクロスなどはどんどん時間が経てば経年劣化します。賃貸契約解除し退去時にクロス等の新品への張り替え費用を借主に全額負担させようとする不動産業者がいますが「退去時のクロスの価値」だけを払えば良いことになります。
ちなみに新築で入居した借主は6年経過でクロスの価値は1円となります。ですから前入居者が新築から3年住んでいて、その直後に入居して3年経過すればクロスの価値は1円になります。つまり六年経過したクロスの「張替費用」は一切請求されないことになります。クロスや畳と同様に、問題となっているのがハウスクリーニング代の請求ですが、これも経年劣化以上に借主の責に帰すべき棄損があると明らかでない限り、ハウスクリーニング代を敷金から差し引かれることはありません。
 ただし、今回の法改正は2020年4月からの施行となります。そのため、現在すでに契約している場合は改正前の民法が適用となります。つまり、現状入居している方や4月前に入居する方は今回の改正が適用されません。
 ただ改正法が適用されない賃貸契約者でも、国土交通省が出している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を知っておくことで上記のルール改正と同様の扱いを受けられる可能性があります。
 ちなみに「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」とは国土交通省が退去時における原状回復をめぐるトラブルの未然防止のために、賃貸住宅標準契約書の考え方、裁判例及び取引の実務等を考慮のうえ、原状回復の費用負担のあり方について、妥当と考えられる一般的な基準をまとめたものです。
今回の民法の改正は国交省が作成した「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に則ったものとなっています。
現在すでに賃貸契約を締結されている方は現在の契約が有効なため、契約内容に沿った扱いが原則ですが、法改正がなされることからガイドラインを参考にして話し合う必要があります。
参考までに下に国交省の「ガイドライン」を記しておきます。
 賃貸契約に関するトラブルを防ぐために、今後「法改正」が望まれるのは賃貸契約に際して一年ごとや二年ごとの頻繁な「契約更新」条項や、不動産所有者から賃貸契約した業者が又貸しする「再賃貸契約」に関して指針となるガイドラインなども示して頂く必要があるのではないでしょうか。
<国交省>
 「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)は以下のリンクからダウンロードできます。ガイドラインは全173ページ(1.93MB)になります。各章単位でもダウンロードが可能です。構成は以下の目次のとおりです。ガイドラインに掲載されている一部の様式については、MicroSoft Word形式でも提供(目次欄に掲載)しておりますので、是非ご活用ください。
  ◆ ガイドライン全文(全173ページ) [PDF形式:1.93MB]
  ◆ 第1章 原状回復にかかるガイドライン   [PDF形式:989KB]
  ◆ 第2章 トラブルの迅速な解決にかかる制度 [PDF形式:397KB]

  ◆ Q&A    [PDF形式:438KB]

  ◆ 第3章 原状回復にかかる判例の動向    [PDF形式:717KB]

2020年02月01日

「反社会的勢力の定義は困難」は困ります。

 政府は、反社会的勢力の定義について「その時々の社会情勢に応じて変化し得るものであり、限定的・統一的な定義は困難だ」とする答弁書を閣議決定したそうです。由々しいことだと騒ぎ立てるつもりはありませんが、「反社会的勢力の定義は困難」との閣議決定は不動産の仲介や売買を業として暮らしている者として看過出来ませんので、今月のプログに取り上げました。
 改めて指摘するまでもなく、10年以上も前から不動産業者には「反社会的勢力」に「賃貸物件を仲介してはならない」また物件売買の「斡旋」をしてもならない、とされています。
 それは2007年に政府がまとめた「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」で「反社会的勢力」とは〈暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団または個人〉と、明確に定義され、そうした勢力を社会から排除しようとするメッセージでした。しかし、その肝心要の「反社会的勢力の定義が困難」だといまさら閣議決定されても困ります。
 不動産業者のことだけではないでしょう。民間企業でも反社会的勢力との関係遮断に取り組んできました。また反社会的勢力を撲滅しようとしている全国の警察関係者も、おそらく閣議決定に驚いているのではないでしょうか。都道府県など地方自治体で施行されている暴力団排除条例も骨抜きになってしまい、行政などで社会を明るく住み良くしようと努力されている方々やその関係の方々も同様な思いではないでしょうか。
 全国の不動産業者は「暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団または個人(以下、「反社会的勢力」といいます)排除に関する社会的責任を認識し、反社会的勢力による被害を防止し、当社の業務の適切性および健全性を確保する」との基本方針を宣言しています。その宣言の根底となる「反社会的勢力」の定義をしっかりして頂かなくては「部屋を貸さない」ことにより「反社会的勢力」の人たちから人権侵害の訴えを起こされかねません。
 速やかに「反社会的勢力の定義は困難」との閣議決定を取り消して、しっかりと反社会勢力と対峙する国の姿勢を打ち出して頂かく必要があります。不動産業者は何を根拠に「反社会的勢力」に対処すれば良いのか「現場」は混乱するばかりではないでしょうか。


2020年01月01日

全国各地の「通行禁止」紛争

 全国各地で「私道を通行禁止にする」という紛争が起きているようです。つい先日は長崎市青山町の住宅地内を縦断する私道を所有する業者が住民に通行料の支払いを求めて道路の一部を封鎖している問題が裁判沙汰にまでなったようです。住民側は11月3日付で通行妨害の禁止とバリケードの撤去を求める仮処分を長崎地裁に申し立てを行いました。住民側の代理人弁護士によると、申立人は住民7人で車で通行できることを前提に分譲地を購入し、当初の開発業者から通行料の説明もなかったことなどを挙げ、住民側に「通行地役権」や「通行権」があると主張しているもようです。
 このように長年地域住民が通行していたものを、登記簿上の土地所有者が「通行禁止」とすることから全国各地で争いが起きているようです。

 土地所有者が「所有権」を盾にして「通行禁止」の実力行使に出るのはなぜでしょうか。もちろん土地所有者にも言い分はあるようです。が、公共の用に供して来た土地を「所有権」を盾に「通行禁止」できるのかという疑問があります。ちなみに土地の地目が公衆の用に供される道路部分の土地に対する固定資産税は非課税になっているケースがほとんどです。
 また「道路」といってもその形態は様々です。大きく分けて国や地方自治体が所有する「公道」と個々人や企業が所有する「私道」に大別されます。その名の通り「公道」は国や地方自治体が管理し「私道」は土地の所有者が維持・管理する必要があります。
 御存知の通り、家を新築するには「接道義務」があります。一定の道路(幅員2mないし4m)に2m以上接してなければ家屋の新築は許可されません。またすべての道路が「接道要件の道路」と認められるのかというとそうではありません。詳しくは建築基準法第42条に列記してありますが、その第2項に「みなし道路」の規定があります。「みなし道路」とは一般的に「2項道路」と呼ばれていて、建築基準法が制定された昭和25年以前から家屋が建っていた場合、便宜的に現状を追認するために道路要件に満たない道路でも家屋が新築できるとした措置です。現在では地方自治体は「みなし道路」の認定を取り消す方向で動いています。

 ただ「みなし道路」の廃止に関しても実際に適合していない家屋を取り壊すとなると社会に与える影響が大きいため、家屋密集地などでは道路基準を満たすように新築許可に当たっては「セットバック」方式による道路拡張方法を取っています。その手法だと道路拡張まで数十年という長期間を要することから、行政に対する地域住民の不満も根の深いものがあるようです。

2019年12月01日

災害と不動産業者の責任

 このところ台風が15号,19号と立て続けに日本列島を襲い、全国各地に深刻な被害をもたらしました。なくなられた犠牲者にお悔やみと被災された方々にお見舞い申し上げます。
 それにつけても、映像で水没した新築住宅などを見るにつけ、不動産業者として忸怩たる思いを禁じ得ません。もちろん不動産業者として私たちは法に従って土地の仲介などを行い、適法な住宅地を提供させて頂いています。そしてお世話させて頂いた土地で、お客様が幸せな暮らしが末永く営まれるのを念願してやみません。
 重要事項説明書には「土地」や「家屋」に関して様々な説明すべき事項が網羅されています。当然ながらハザードマップの告知もしなければなりませんし、そもそも特別警戒区域には家屋が新築できないことも告知義務が課されています。家屋建築土地と同様に道路に関しても、当該土地が接道義務を果たして家屋が新築できる土地なのかを説明しなければならないことになっています。ただし数十年もの遠い過去に水害被害などがあったのかまで説明する義務はありません。つまり不動産売買に関して今後の課題として、河川よりも低地の「浸水地域」か否かという土地購入者にとって「不利益な情報」を告知する義務が不動産業者に課されるのか、という問題があります。
 さらにマンションやタワーマンションの販売に関しても、その地域周辺が浸水した過去があるのか、あるいは配電施設が地下にあるのか。マンションに非常電源が設置してあっても、その設置場所が地下かどうかの説明もしなければならなくなるのか。そして、水害被害を受けた場合に今回の武蔵小杉のタワーマンションのケースのように、一定期間居住の用を満たさなくなった被災期間に、ホテル等に移って暮らした費用負担をどうするのか、という取り決めもして置く必要があるかも知れません。なぜならタワーマンションでエレベーターや水道などが止まった場合は居住に適さないからです。そうしたある意味居住に適さない「欠陥住宅」を販売した不動産業者に損害賠償責任が全くないとは言い切れないからです。
 自然災害は損害賠償請求の埒外だと切って捨てているのが現在の法律ですが、ゴルフ練習場の鉄塔が倒れて下敷きになった家屋の所有者に対して、ゴルフ練習場のオーナーに全く責任がないとは言い切れないと思います。そして長い年月浚渫を怠って、川に中州が出来て樹木が茂っていた状況に、行政の責任は皆無だと言い切れるのでしょうか。秋川の濁流が家屋の基礎下の土地を削ったのは明らかに中州によって流れが変わったのだと、誰の目にも因果関係が見て取れます。行政の河川管理責任を問う声が上がっても、不思議ではありません。終の棲家が不幸の元になっては堪りません。
 歴史的に治世者の最大の課題は「治山、治水」でした。それは現代でも変わりなく、いかに情報が進んでも最終的に対処するのは生身の人です。一炊の蒸気で死ぬ人に過ぎません。情報化の推進もさることながら、「治山、治水」を疎かにしてはならないとの思いを強くする昨今です。

2019年11月01日

地方創生事業の前提条件

 あるゼネコンから久々に「山口県東部に一万坪の工場用地はないか」との問い合わせがありました。なんでも機械製造会社が新規工場を山口県東部に建てたいとのことですが、詳細を詮索しないのが業界の「常識」ですから、相手企業名や事業内容に関しては全く知りません。
 そこで当然のように県東部の地方自治体に「一万坪の工場用地はありますか」と問い合わせをしました。バブル全盛期に各地方自治体が「企業団地」を競うように造成して、分譲地がなかなか売れなくて困っていたものですが、現在では各自治体が造成した企業団地に「売れ残り」はなく、一万坪の確保は困難な状況だ、ということが分かりました。
 御存知のように山口県知事は「山口県の創生」を掲げて、活性化を宣言しています。しかし企業を誘致すべき優良な企業団地なくして、いかにして山口県を活性化すというのでしょうか。まさか徳山の「中心市街地活性化」と称してシャッター街に三年間の事業継続で出店を募る「活性化」ではないでしょう。それだと三年間だけ営業して次々と廃業する居酒屋や喫茶店が出店するだけで終わります。それも「活性化」といえば「活性化」かも知れませんが、到底行政が税を投入して実施すべき事業とは思えません。
 そして愕然とするのは国土交通省が発表している「道路舗装率」の都道府県ランクで山口県が24位という現実です。何となく山口県の道路は良い、という観念がありましたが、いつの間にか24位まで後退していました。全国平均の舗装率が52.2%で山口県が51.7%ですから、全国平均をも下回っています。この不都合な事実を地方自治体の執行部および議員各位は御存知なのでしょうか。
 地方創生を提唱されるのなら、そり基礎となる企業団地や道路整備に全力を傾けるのはイロハの「イ」ではないでしょうか。いつの間にか地盤沈下している山口県の現実を私たちはしっかりと認識しなければなりません。

2019年10月04日

「空家」で山口県との協調を

 全国的に空家が問題になっているようです。山口県でも空家が12万6千戸もあり、全家屋に占める割合は全国平均よりも1%ほど高い17.6%にのぼっているようです。
 空家の何が問題なのかというと、いわゆる家屋の「放置」により老朽化が進み、シロアリや害虫や小動物の巣になりやすく周辺環境に悪影響を及ぼすと同時に、不審者の侵入などで失火などになりかねないからです。しかも通学路や道路に面して建っている場合には、崩落などにより直接的な被害を通行人に及ぼすことも考えられ、地方自治体などで家屋撤去の「強制執行」措置を取りやすくする法律も制定されました。
 しかし「空家」をすべて撤去するというのは経済的にも資源再生利用の面からも合理的とはいえません。出来るモノならリフォームやリノベーションにより新たに人が棲めるようにする方がより良いのではないでしょうか。山口県などもそうした「空家対策」として「棲む」前提で空家のリフォーム費用などを一部補助しようと条例を制定しました。それは省資源や地域社会の維持にとって望ましい政策だと思います。
 ただ山口県内だけを対象として考える政策では余りに効果が限定的です。山口県の「空家」の現状と、県の対応策を広く全国に知らしめなければなりません。そして「空家」をリフォームなどにより山口県に移住する人たちに廉価な住宅として提供できるシステムを作って、大都市圏を主なターゲットとして広報活動を行う必要があるのではないでしょうか。
 その場合、山口県は県下の不動産業者が「家屋」を含めて不動産を扱う専門家として活用されることを望みます。新しい団地造成はもとより、既にある宅地や家屋を活用する術にも不動産業者は長年の経験と知恵を蓄積しています。宅建協会などがすべての不動産業者の代表として県に働きかけて、県と県下の不動産業者との「空家情報」の共有化を働き掛けて欲しいものだと思います。

2019年09月02日

「棄国」よりも「地方への移住」の勧め。

 ジムロジァーズ氏はいわずと知れた投資企業ロジャーズ・ホールディングスの会長です、ジムロジァーズ氏本人はウォーレン・バフェット、ジョージ・ソロスと並び「世界三大投資家」と称されている投資家です。いわばウォールストリートを代表する米国の「ハゲ鷹」の一人に数えられています。
 その彼が先月来日して様々なマスメディアに登場したことは御存知でしょうが、彼がマスメディアを通して常に言っていたのは「日本は投資対象として魅力に欠ける」ということでした。彼は持論のように「経済成長率の鈍化した日本で消費増税するのは狂気の沙汰だ」と現政権を批判していました。グローバリストの彼がグローバル化を推進する現政権を批判するのは驚きでした。そして彼の肝となる主張は「移民」の勧めでした。彼が米国から居を移しているシンガポールに日本の高齢者も移住してはどうかと呼び掛けていました。
 実際に年金世代が日本から脱出してタイやフィリピンなどに移住する人がかなりの数に上っているのも事実のようです。しかし移住先で貧困化してホームレスになっている高齢者も珍しくないようです。移住には用意周到な準備と的確な現地社会制度の調査が必要なのは言うまでもありません。
 だがたとえ移住が成功したとしても、年金世代の高齢者が「国を捨てて」移住するのもどうかという思いがしないでもありません。ジムロジャース氏のようなグローバル世界で生きている投資家にとって、何処に棲もうが問題ない、ということなのでしょうが、多くの日本国民は「移住」に対して少なからず抵抗を覚えるのではないでしょうか。
 かつて国が国民を捨てる「棄民」という言葉がありました。しかし「移住」の勧めは、ある意味で「棄国」ということになりはしないでしようか。高齢者といえども国民が「国を捨てる」とは穏やかではありません。
 ジムロジァーズ氏は「暮らしのコスト」とりわけ家賃と食費を例にとって、少ない年金受給者でも東南アジアに移住すれば豊かな暮らしが送れる、と「移住の勧め」をしています。が、彼が東京の家賃や食費を「ヒキアイ」に出して比較するのは地方に在住者にとっては違和感満載です。地方では選り好みさえしなければ中古住宅の家賃は格安ですし、食費も自給自足を目指せば必ずしも不可能ではありません。
 ですから大都会から地方への移住は「移住」よりもお得だといいたいのです。そして国民の大都会から地方への移動を支援するシステムを、地方自治体は不動産業者を巻き込んで構築する必要があるのではないでしょうか。
 地方には耕作放棄された広大な田畑や、多くの空き家が残されています。それなりのオリエンテーションを行えば決して地方枝の移住のハードルは高くありません。何よりも同じ言語を使う日本国民ですから理解し合うのに不便はありません。地方を生かすためにも、「棄国」ではなく、地方への移住を不動産業界も一考すべきではないでしょうか。

2019年08月03日

不動産業界の「黒船」か!

 不動産業界のamazonかと騒がれている会社があります。その名はOYO LIFE(オヨ ライフ)です。日本では今年一月現在で首都圏を中心に急成長していますが、まだ一般的には馴染みが薄いようです。そもそもOYO LIFEとはインドの不動産会社OYOが日本でを立ち上げた不動産会社です。その特徴は賃貸事業の面倒な手続きをなくして「不動産事業の電子化」や「敷金・礼金・仲介手数料・ゼロ」などといった不動産業界の常識破りの事業展開にあります。OYO LIFEの経営者は勝瀬CEOとのことです。
 不動産業界は宅建業法で契約等で厳格な規定が定められていて、ペーパー・レス化が最も遅れている業界だといわれています。不動産賃貸でもホテルを予約するように電話だけで入居や退去ができるなら素晴らしい、と思う人も少なくないようで、首都圏などで破竹の勢いで賃貸物件の数を増やしているようです。今年一月現在で抱える賃貸物件は1000を超えているといいます。勝瀬CEOは今後益々「不動産業界のIT化を画期的に促進する」と意気込んでいます。もちろんWebサイト上で入居したい住宅や部屋を選び、保証人不要、保険や光熱費などの手続きなどもすべてOYO LIFEが行うということだそうです。
 ではどんな経営をしているのかというと、OYO LIFEの事業手法はレオパレス21などのアパート建設と不動産管理を併せて行う「サブリース契約」を取り入れて、オーナーから丸ごと借りて管理会社が貸し出す手法でペーパー・レス化を実現しているようです。
 つまり2017年10月から貸主は「重要事項説明書」をテレビ電話などで説明すれば書面で交付する必要がなくなったことを受けて、OYO LIFEがオーナーと賃貸契約を締結した物件をOYO LIFEが貸し出すから「重説」は対面で説明する必要竿゛ないという理屈のようです。たださすがに契約書は書面を交付しなければなりませんから完全なペーパ・レス化を実現したわけではないようです。
 しかしOYO LIFEが展開する「サブリース」契約の賃貸マンションは家電や家具が備え付けられていて、身一つで転居が可能となっています。その代わり家賃は付近の賃貸相場より少し高めに設定してあり、勝瀬CEOは「18ヶ月まではOYO LIFEのマンションに住んだ方がお得な家賃設定」してあるとのことのようです。つまりイニシャルコストをなくした分をランニングコストで回収するビジネス・モデルのようです。ただ条件として最低でも30日以上は住んで頂くこと、そして90日を超える場合は再契約の必要があるとのことです。それは30日未満では賃貸住宅とみなされず旅館業法に抵触する恐れがあるからです。そして90日を超える場合は「法律上一時使用目的の建物賃貸借」と認定されない恐れがあるからです。
 OYO LIFEにより完全なペーパー・レス化が不動産業界で実現できたわけではありませんが、インドのOYO本社はソフトバンク・ビジョン・ファンドから10億ドルの資金を調達していて、日本での事業展開で初期投資や当座の運転資金に困ることはないようです。ペーパー・レス化という不動産業界の常識に挑むOYO LIFEは果たして不動金業界の黒船になるのでしょうか。それにしても借り手が反社会的な人ではないが、あるいは居場所を転々と移す「オレオレ詐欺」などの犯罪組織でないかなどを、どのようにして見分けるのか疑問が残ります。ホテル事業者が賃貸不動産業者へ近づいた「ウィークリー・マンション」に対して、不動産業者がホテル業者に近づいたOYO LIFE方式と、今後どうなるのか興味のあるところです。ちなみにOYO LIFEのキャッチ・コピーは「旅するように暮らそう」だそうです。

2019年07月01日

2019年住みやすさランキング

 例年通り「都用経済新報」より、全国住みやすさランキングが発表されました。全国トップ50までで中・四国から入ったのは前年より8位アップし22位となった下松市だけでした。
 なぜ下松市が躍進したのでしょうか。その大きな要因は今年から「住みやすさ」に公共料金の水道料が加味されることとなったからのようです。指摘するまでもなく、下松市は全国的に見ても水道料金は山口県下でも岩国市に次いで安い方です。そのため全国ランクで暮らしやすさがUPしたようです。
 全体的に見て、トップ50入りした自治体で目立つのは石川県の躍進です。どうやら東北新幹線が開通して、金沢や能登などが東京から気軽に行けるようになったことが利便性のUPとしてカウントされたようです。
 ただ周辺近隣自治体を見てみると光市が181位で、周南市に到っては486位と全体812市区の半分以下と厳しい評価が与えられています。
 周南市がなぜそうした低い評価になるのか、周南市民は胸に手を当てて考えてみる必要がありはしないでしょうか。駅ビル図書館などの「アメニティー」などは他の市区から見ればとりたてて掲げる必要もない、当然の施設なのかも知れません。それよりも市全域全体の「住みやすさ」こそが重要なのではないでしょうか。
 その「住みやすさ」を評価する簡単な指標は人口で見られます。下松市は人口減ではなく、人工微増市だということからも「住みやすさ」が客観的に見て取れます。
 反対に、周南市は合併後10年で人口17万人を見込んでいたものが、反対に15万人から減少していることからも「住みやすさ」で486位に甘んじている「客観性」があるのではないでしょうか。ハコモノ行政に重きを置き過ぎ、中心市街地にばかり特化した行政資本の投下に片寄った市政を、行政当局や市議会は真剣に自省する必要があるのではないでしょうか。市当局の自己満足だけで「住みやすさ」は決して手に入らいことは「住みやすさランキング」が示唆しています。

2019年06月22日

マンションは廃墟になる。

マンションのみならず、すべて形あるものは「空」に帰す、とは般若心経に説かれています。マンションであろうと一戸建てであろうと「形」あるものは永遠ではないのは自然の摂理です。いつかは老朽化して手を入れざるを得なくなります。
 しかし住宅評論家の榊淳司氏は「すべてのマンションは廃墟になる」との著書を著して、ことさらマンションに限定して警告しているのはなぜでしょうか。榊氏には「絶対にタワーマンションを買ってはならない」との著述もあります。それほどまでに榊氏が「コンクリート集合住宅」を忌み嫌う理由は何でしょうか。
 まず榊氏がマンションは必ず廃墟になる、と論述している根拠はマンションを構築している構造体の「鉄筋コンクリート」あるいは「鉄骨コンクリート」という建築素材を論拠に上げています。つまり鉄は必ず錆びて永遠に家屋を支える素材ではない、というのようです。材木を組み合わせた戸建ての日本古民家が百年の星霜を超えて建ち続けるのとは根本的に異なる、というのです。
 マンションの耐用年数が50年だとすると、新築マンションは一年毎に2%減価することになります。そして建築後50年を経過時点で耐用年数が尽きて「取り壊し」て「建て替える」ということになります。マンションの問題はまさに「取り壊し」と「建て替え」にあるようです。

 従来は入居者全員の同意が必要でしたが、現在では幸運にも居住者の4/5以上の賛成を得て「解体撤去」が出来るようになりました。しかし幸運にも「解体撤去」が決まったとしても、一戸当たり平均500万円の「取り壊し費用負担」が重くのしかかってきます。
 しかも取り壊した後に残る「資産」はマンション敷地の土地の「区分所有部分」でしかありません。これまで暮らしてきたマンションで専有していた面積には遠く及ばない僅かな「土地」が「資産」として残っているだけです。若いころにマンションを購入したとしても、建て替えが必要になる頃には居住者はリタイアした高齢になっています。
 建替え積立金をマンション管理組合で積み立てていればまだしも、管理組合の積立金が修繕費にすら足らないマンションがほとんどで、築後30年が目途とされる大規模修繕すらままならないマンションが殆どです。つまり減価を終えたマンションは次の新築を目指して老朽化したマンションの解体撤去を行い、次にマンションを新築しなければ「持ち家」は減価とともに消え去ることになります。
 更に悲劇的なのがかつてのように容積率緩和で建増しされる部屋数を売却して従来からの入居者が低廉な価格で新築マンションに帰還できる、という「夢のような話」も現在のマンションは緩和された容積率いっぱいに建てられているため、将来にそうした「夢」を託すことも出来ない現実が追い打ちを掛けます。
だから将来老朽化したマンションは見捨てられ廃墟になる、というのが榊氏の結論のようです。さて、皆様はいかがお考えでしょうか。

2019年06月12日

「家を買うな」と主張する評論家たち

 テレビなとで活躍している人気経済評論家の上念司氏は「家とマンションは買うな」との持論を展開しているようです。同じく経済評論家の森永卓郎氏も「この先不動産と株価が下落する」と不動産業者にとって不吉な予言をしています。
 その反面、賃貸住宅の高齢者の多くが行き場を失って生活困窮者に転落している厳しい現実もあるようです。ことに未婚率が高くなり独身のまま高齢化した場合が困難な状況に追い込まれるようです。それは賃貸住宅に居住している人がそのまま定年を迎えると収入減となり、現役時代から暮らしている賃貸住宅に入居し続けるのが困難になる反面、新たに賃貸住宅に入居するには「保証人」や「保証制度」を利用するにしても、なかなか「保証人」を見つけづらくなり、「保証制度」を利用するにしても審査基準が厳しくなる現実がありようです。また貸す方からしても独居老人に貸すのを嫌がる傾向が強いのも事実です。

 そうした状況を踏まえて、2017年10月に国交省が「住宅セーフティネット法」を改正して、家賃補助や改修工事への補助と引き換えに、所得の少ない人や高齢者などの「住宅確保要配慮者」の入居を断らない、を優先的に入居させる賃貸住宅を「セーフティーネット住宅」として登録させる制度を創設しました。目標は「2020年度に15万5000戸」だそうですが、それに対して制度開始から半年経った時点で登録された賃貸住宅は600戸余りと目標達成率0.4%と厳しい状況です。ことに東京都では登録戸数ゼロということで、民間賃貸住宅市場が貸し手市場の場合はなかなか難しいようです。
 国交省は将来的には「セーフティーネット住宅50万戸」を見込んでいるようですが、抜本的な改善策を立てない限り達成は困難なようです。今後生涯未婚率が上昇する分も見込めば、東京都だけで70万戸近い高齢者借家制多数が増えると予測され、高齢者の自宅難民が続出すると思われています。

 投資の観点から上念氏や森永氏は「持ち家は割に合わない」と主張しているのですが、一般の人にとって家の購入は投資目的ではなく「生活の場の確保」をするためのものです。ことに高齢者が「生活の場」を失えば現役世代よりも所得が低いため、ホームレス生活に転落する可能性が高いと思われます。そのためUR(独立行政法人都市再生機構)では民間と異なり国籍不問や職業不問と「入居基準」を低くしています。その上保証人、礼金、仲介手数料、更新料などの「4なし」を売り物とし入居審査も比較的緩くしているようです。しかしそうした「入居基準」の引き下げはURそのものの治安や住環境の悪化につながるとともに、そもそもURの団地は家族向けのものが多く、一戸当たりの専有床面積も広く家賃も広く設定されています。従って、独居老人にとってはUR入居は割高感が強いようです。

 つまり定年を過ぎても賃貸住宅に住めるのは定年後も十分な所得のある高齢者に限られる、ということです。「家を買うな」と主張する経済評論家たちは定年後も所得の下がる心配のない売れっ子評論家か、「家」を投資としてみる評論家の「極論」でしかない、というしかありません。平均的な人生では庭付き一戸建てを手に入れることが「上がり」とする「住宅すごろく」はいつの時代でも変わりないようです。

2019年05月08日

「古民家」考

 テレビなどで取り上げられる「古民家」が地方にゴロゴロ転がっているわけではありません。風格のある年代物の古民家は素晴らしいが、殆どの「中古住宅」はただ単に古い家屋に過ぎないというのが現実です。つまり築後50年経とうが「古民家」でない「中古住宅」は古いだけで格別に魅力があるわけではないのです。
 長らく仲介 物 件として預かっていた「中古住宅」にやっと買い手が付いた。それも売値を下げに下げて、殆どタダ同然だが、そのことを電話で告げると依頼者は売れたことで一安心していました。  なぜ「一安心」なのでしょうか。それは単に解体費用を掛けないで済んだからです。大きな母屋と農機具倉庫。それに離れまで建っているから解体業者に頼めば数百万円かかる。その費用を考えるだけで頭痛の種だったそうです。
 「中古住宅」は兄の住居だったという。その兄夫婦は子宝に恵まれず、夫婦ともに病死した。相続した弟も遠隔地の島根県に暮らし、胆石を患って今年一月には手術して胆石を取り出し、長く病床に臥していたそうだ。

 中古住宅は兄夫婦が建ててから50年も経過しているが、古民家というほど巨大な梁や三尺の大黒柱などを用いた家屋ではありません。もちろん囲炉裏を焚いた家屋でないため、黒煤の風格もない。プレハブでない、というだけの平凡な中古住宅。

 買い手は敷地の広さに目を付けたようだ。土建業を営むという買い手は広い庭に重機などを置くという。家屋は盗まれ易い発電機や転圧器などを収納するという。つまり「倉庫」代わりに使うという。

 だが、それで「中古住宅」が「廃屋」にならずに済んだ。人が棲まなくなり「廃屋」になれば10年と経たずして家屋は朽ち果てる。地域に迷惑をかける前に大枚をはたいて解体しなければならなかった。そうした運命を辿らないで済んだことに弟は「良かった」と、買い手が付いたことに安堵した。それが地方都市の周辺部、田舎の日常風景なのです。

2019年04月13日

相続税の不動産関係の主な改正点。

 平成01年度の相続税の改正で不動産に関する主なものをお知らせまでに。

 夫が死亡した際の妻の取り分は、子がいる場合は遺産全体の2分の1と、民法で決められています。配偶者が残した相続財産が家と土地が中心だと、自宅を処分し売却金額の半分を受け取るという仕組みです。今までの自宅に住めなくなる不条理がありました。思い出の詰まった住宅を手放すことには、法律には沿った措置とはいえ、決して好ましい制度とは思えません。
 これを解決するため、改正相続法では「配偶者居住権」が創設されました。これは住宅の所有権と居住権を分離し、故人の配偶者が所有権を持たなくても自宅に住み続けることを保障する仕組みです。
 居住できる期間は、遺言や遺産分割協議をもとに決められます。この居住権の評価額は、配偶者の平均余命などをもとに決められますが、高齢になるほど評価金額は低くなり、相続財産が多くなる仕組みになります。
 ただし、所有権に比べると居住権のほうが弱いため、居住権登記の手続きをすることで、権利を確保する必要があります。この登記により、子などが所有権を一部は持っているため、所有権を他人に売却されることで、実際に住んでいる家からの退去という事態を防ぐことができます。
 配偶者の権利が認められるもう1つの改正は、婚姻期間が20年以上あれば、夫婦間で贈与された自宅は、遺産分割の対象から除外する仕組みです。自宅は残された配偶者のものとなり、遺産分割の対象から外され、それ以外の遺産を相続人同士が法律に沿って分割します。高齢の配偶者の安定した生活を支援することが目的です。
 この他にも相続で実態に即した改善が見られます。たとえば親と同居していた長男の妻が介護で苦労したとしても、夫の取り分としては評価されても、相続人ではないため彼女自身の貢献度は評価されませんでした。今回の改正により、相続権はありませんが「特別寄与料」という制度が創設され保護されます。
 相続が発生した時点で、介護の貢献度に応じて相続人に対し請求できます。法律上の相続権がない人でも、特別寄与料の請求が法的に認められます。ただし親族以外の第三者が介護に協力したとしても、この特別寄与料は認められません。ますます深刻化する介護問題へ、1つの指針が示されたことになります。
 特別寄与料の請求先は義理の兄弟姉妹になるため、現実的にはかなり大変です。合意できないときには、家庭裁判所が提示している算式が参考になります。家庭裁判所での寄与分の算定は、1日当たり8000円程度を目安に介護した期間を掛けて算定しています。
 ただし相続財産の多寡により、特別寄与料も変わることが予想されます。実際の額は200~500万円程度が目安となるかもしれません。相続財産が少ない場合は、現実には100万円以下となり、家庭裁判所の基準に沿った受取額になるのは難しいケースも出てきそうです。
 他にも「遺留分を正当な権利として保障」などの規定も改正されました。詳しくは税務署なり税理士にご相談されることをお勧めします。

2019年02月12日

不動産相続にも「時効」の適用を。

全国で問題となっている「所有者不明土地」をめぐり、法務省は11日、所有者が判明しない場合でも、裁判所の手続きを経て、土地の売却を可能とすることなどを盛り込んだ対策の骨子案を公表した。
 所有者の氏名や住所が正しく記載されていない「変則型登記」の解消が狙い。同日から実施する意見公募(パブリックコメント)を踏まえ、通常国会に関連法案を提出する方針だ。(以上「時事通信1/11日付記事」より引用)

  先月のブログで「不動産登記法の改善を望む」と題して、不動産相続に関して所有権移転登記されない不動産の問題を投稿したばかりで、新年早々に「所有者不明土地」に関して前進することになり法務省の動きを心から歓迎します。
 実際に「所有者不明土地」は登記簿上に記載されているの所有者が既に死亡し、そして相続登記されないままかなりの年数が経過している場合にありがちです。所有者を確定するために戸籍などから相続人を捜しても該当者が見当たらず、従って取引も出来ないまま放置されている土地は山番地などに多く見られます。
 そうした「所有者不明土地」に関して、法務省は裁判所の手続きを経て土地売却が可能になる対策法案を通常国会に提出するという。まさしく朗報というべきですが、それなら所有者の死亡後に一定期間所有権移転登記されない土地に関して、一定の要件を備えている申立人を裁判所は「相続人」と認定する法案も提起して頂きたいと思います。
 「所有者不明土地」に関しても、おそらく時効と同様な観点から、たとえ後に相続人と名乗り出る者があったとしても「権利の上に眠る者は保護されない」との時効の考え方を適用すべきではないでしょうか。たとえば「相続移転登記」されないまま相当の年数(10年程度か)を経過した不動産に関しては、実際に当該不動産の固定資産税を支払っているなどの実態があれば「所有権移転の申し立て」を裁判所に行い、判決を以て「所有権移転」が認められる、という法律が制定されるなら、全国にゴマンとある所有権が相続人に移転されないまま放置されている不動産が売買可能になります。
 地方の不動産価格は驚くほど低いため、登記簿上の所有者が死亡していて、相続移転がなされないまま放置されている土地の売買を手がけるには費用が土地売却金額と見合わないケースがほとんどです。現在ではすべての相続人から「相続放棄」なり「相続分登記」を行った上でしか所有権移転できないため、すべての相続人の同意なり印鑑なりを揃える費用が嵩張るのを理由に、土地売買を諦める場合が多いのが現実です。そのため土地の有効利用が妨げられたまま放置され、さらに荒廃を招く事態になりかねません。そうしたことを解消するためにも「権利の上に眠る者は保護されない」という時効の考え方を適用ずべきではないでしょうか。

2019年01月15日

不動産登記法の改善を望む

不動産を生業としている者は仕事上、不動産登記とは切っても切れない関係にあります。その不動産登記に関して以前「所有権」が現実の所有者と異なる場合があることに関してブログに書きました。その最大の原因は所有権者が死亡した後も、相続人に所有権の移転登記がなされないケースがあるからです。ことに地方の土地価格が安い地域の土地・家屋に関してそうした所有権の移転登記を放置する場合が多いようです。
 登記簿に現実の所有権者が登記されていない不具合を政府も認めて、登記簿の所有権者と現実の所有者とが合致するように法改正を行う方向で検討を始めたようです。
 所有権者もそうですが、登記簿には登記すべき「権利」が他にもあります。それらは用益権と呼ばれるものと担保権と呼ばれるものとの二種類あります。

<用益権>
 これらは、他人の不動産を使用収益する権利のことで、登記できるものに以下のものがあります。
地上権・・他人の土地などを建物を建てたり、竹木を所有したりできる権利のこと。
地役権・・袋路の土地から道路に出るなど有効活用のため、他人の土地を利用できる権利。
永小作権・・他人の土地を利用して耕作などをする権利。
賃借権・・賃借人が他人の不動産を使用収益できる権利。
採石権・・契約によって、他人の土地などから岩石を採取できる権利。

<担保権>
 不動産を担保にしてお金の借り入れをしている場合にその不動産に設定される権利のことで、以下のものがあります。不動産の登記簿をみることでその不動産に抵当権などの担保権が付いているかどうか分かるのです。
抵当権・・債権者が債務者から担保として不動産に登記し、他の債権者に優先して自分の債権弁済を受けられる権利。
先取特権・・法律で定めるある一定の債権者が他の債権者に優先して弁済を受けることが出来る権利。
質権・・債権者が債務の担保として、質に取ったものを占有できる権利。

 このように、登記できる権利は「所有権」の他にも様々なものがあります。これらの権利に関しても権利者と現実の権利者とが一致している必要があります。特に「用益権」に関しては権利者が死亡した場合に相続人すべてが同意しなければ「用益権」が消滅しないため、土地売買で大きな障害になるケースがあります。「担保権」でも抵当権の一種の「所有権移転の仮登記」には時効がないため、いつまで経っても「時効消滅」にならない不都合が生じる場合があります。こうした現実と乖離しやすい「権利」の登記に関して、第三者への対抗要件が権利者の「権利」を護るために登記するのであれば「主張なき権利者の権利は守られない」という法原則に基づき他の債権等の「権利」と同様に時効が適用されて然るべきだと思います。登記簿上に記載される所有権に関してやっと現実と登記簿上の乖離を解消する動きが出て来たことを歓迎するとともに、さらにもう一歩進めて他の用益権や担保権など登記簿に記載される「権利」に関しても現実に即した法改正が行われることを期待します。

2018年12月15日

不動産が「負」動産になる

 昨日も築50年余の民家の処分を依頼された。田舎の敷地200坪に建つ一軒家はいわゆる「古民家」ではない、古ぼけた老朽家屋でした。農家だったため長屋や米穀倉庫などもあり、なかなかの壮観としかいいようがありません。
 しかし売却するとなると「家」は余分となります。更地ならそれなりに買い手はつくかもしれませんが、値段は坪単価一万円が良いとこでしょう。そうすると敷地に建っている家屋を解体撤去するだけで「足」が出かねません。しかし、こうした不動産ではなく負動産が田舎にはゴロゴロしているのが現実です。
 団塊の世代はやっと70才になったところでまだまだ元気です。団塊世代の子供たちがこうした問題に直面するのは後十年後でしょうが、その前世代の子供たちが負動産問題に直面しています。彼らも高度経済成長時代に成年に達して、就職で都会へ出て行ったまま帰らないため田舎は限界集落だらけです。
 それでも古い田舎造りの家屋なら「古民家」として梁や柱を生かして改築し、蕎麦屋や雑炊屋として店開きしているケースも見受けられますが、戦後のプレハブ住宅なら手の着けようがありません。
 だから現況有姿で「買い手価格」で売ってはどうかと勧めるしかないのですが、そうすると相続した子供たちが憤慨します。生まれ育った家を「そんな捨て値」で売るわけにはいかない、という感情も理解できます。中には「バカにするな」と怒る人さえいますが、しかしそれが田舎の老朽家屋の現実なのです。
 人が住まなくなると家屋はアッという間に「廃屋」化します。時には野生動物が入り込んで荒らしたりします。そして廃屋であろうと、解体撤去に要する費用は変わらりません。なぜなら昔のように「野焼き」が出来ないため、廃屋も解体して金属と材木を分別して産廃処分場に持ち込むしかないからです。
 それが嫌なら都会暮らしに見切りをつけて、両親の暮らしていた田舎へ帰郷することをお勧めします。不動産を負動産にしないためにはそれしかないのですから。

2018年11月18日

不動産業者と「消費増税」

 土地売買に消費税はかかりません。そもそも土地は「消費」して消えてなくなるものではないからです。そういう意味では土地売買だけをしている不動産業者は消費増税だと無縁と思われがちですが、事実は大いに関係があります。なぜなら土地購入は「家」を建てるために購入するからです。実際に消費増税は不動産業者にとって手痛い影響があります。
 2014年の消費増税8%の時も影響は甚大でした。なにしろ「家」は高額な商品ですから家の価格が2,000万円なら税率が1%でも税額が20万円になります。それが3%も上がったのですから新築契約を結ぶお客様は60万円もの負担増ということになります。前回の消費増税で日本経済は落ち込み、GSPは前年比マイナスを記録しました。
 そこで今回は消費増税の影響を少なくするために、値の張る自動車や「家」に関して増税緩和策をどうするなと政府は腐心しているようです。しかし最も良い政策は消費増税しないことです。

 不動産業者の感覚からいえば、税収増を図るにはまずデフレ経済からの脱却に全力を注ぎ、日本経済を力強く成長させることが最善策ではないかと思います。
 高度経済成長期のように7%経済成長とはいわないまでも、数%ほど経済成長すれば成長に伴う物価上昇、つまりインフレになります。インフレ率が2,3%でれば1000兆円を超えた国債は実質的に20~30兆円も償還されたことになります。

 デフレ化経済は不動産業者にとって過酷です。なぜならデフレ経済は実質的に貨幣価値が上がり、貨幣価値が上がることにより実質的に借金が増えるからです。そのため長期ローンを前提とする不動産市場が冷え込むのです。
 私たち不動産業者のためにも確かな経済成長政策が心から待たれます。消費増税には反対ですが、走り出したら止まらないのが「政府」のようです。何とかならないものでしょうか。

2018年11月02日

廃墟と化すマンション

 以前このブログで修繕積立金の不足でマンションが定期的な修繕ができなくなり、老朽化するのではないかと警鐘を鳴らしました。しかし現実は私の想像を超えてもっと悲惨なことになっているようです。

 普通マンションは新築から15年経てば外壁の補修が必要になり、三十年後にはエレベーターや上・下水の配管などの取り換えが必要になるようです。そうした修繕などがマンション購入者が管理組合に毎月積み立てた修繕積立金で賄えたとして(中には修繕積立金がマトモに全入居者が積み立ててないため修繕すら出来ないマンションもあるようです)もあるようです。

 しかしマンションが抱える最も問題は「建て替え」です。マンション(鉄筋コンクリート造の建物)の法定耐用年数は、1998年の税制改正によって47年と定められていますが、もちろん法定耐用年数(減価償却により現存価格が取得費の10%になる年数)がマンションの居住限界とはいえませんが、おおむね50年ないし60年でマンションは取り壊されているようです。

 ただ1981年を境に建築基準が変わり、旧耐震基準と新耐震基準ということになり(壁式工法除く)、1981年以前のマンションでは、コンクリートの性能から鉄筋の量、施工法などが異なっているため、大きな地震に対する耐力が現行基準の建物に比べると残念ながら低いといわざるを得ません。

 耐震構造を施して補強すれば耐震性がある程度は増すものの、それにより安全なマンションに変わるのかというとそうでもないようです。基本的な構造は何も変わらないため、あくまでも「補強」に過ぎないということにようです。

 そして何よりも問題なのは老朽化したマンションの「建て替え費用」です。つい数年前ですが、徳山駅ビルの建て替えのために旧駅ビルを解体撤去しました。その予算が当初は5000万円で計上されていたものが、夜間工事の中止や工期の関係などと様々な理由から解体撤去費用が嵩み、最終的に3億円を超えたのは論外としても、マンションの解体撤去にかなりの予算がかかることは想定しなければなりません。ちなみに宇部のグリーンホテル(徳山駅ビルの3倍ほどの規模の建物)の解体撤去費用は7000万円程度だったと聞いています。

 それほどの巨費をマンションの解体撤去に投じて、その跡地に同規模のマンションを建てることが出来る経済力を現マンション居住者が持っていれば何も問題ありませんが、そうでない場合は退去者の地上権と土地の共有持ち分を「建て替えマンションの入居者」で買い取らなければなりません。

 旧容積率で建てられたマンションなら建て替え時に増加した容積率分を旧マンションよりも多い戸数のマンションを建築して、増加した戸数の売却分を「建て替え」費用から差し引くことも可能です。しかし新・容積率で建てられたマンションは戸数が増加しないため、旧マンションの購入価格よりも「建て替え」費用の負担の方が高くなることを覚悟しなければなりません。

 そうしたハードルを越えて「建て替え」が合意できなければマンションは老朽化したまま放置され、やがては自然と「廃墟」にならざるを得なくなります。

 今後、飛躍的に居住耐用年数を超えるマンションが大量に出てくる時代を控えて、国は公的金融機関も巻き込んだ「マンション建て替え」制度や「建て替えファンド」などを用意する必要があるのではないでしょうか。若くしてマンションを購入された方も、高齢化に伴ってマンションの「建て替え」問題に直面することになります。

2018年10月16日

2018年 下松市の土地価格情勢

 2018年度の公示価格が発表されました。下松市は全体では-0.31%の下落となっていますが、地域によっては上昇に転じるなど、人気の高い地域が土地価格の持ち直しを見せています。全国平均で土地価格は底を打って上昇に転じたといわれ、とくに大都市圏の商業地域の土地価格の上昇はバブル当時を思わせるモノがあります。しかし、それらの主要因は中国人を中心とした外国人投資によるもので、地方都市に波及するにはまだまだ時間がかかりそうです。
 下松市の2018年公示価格で目に付いたのは人気の高い地域の地価上昇です。その例としては中央町が0.29%の上昇で、同じく桜町が0.61%の上昇、他にも美里町が0.51%の上昇となっています。
 その反面、依然として地価が下落している地域で最も高い下落率を示したのは葉山一丁目で-2.16%となっています。次いで末武上、中でそれぞれ-1.94%,-1.40%を示し、生野屋南と西が-1.13%、-0.48%。次いで西豊井が-1.05%の下落で、南花岡が-0.81%と引き続き下落しています。
 こうして見ますと、地価上昇に転じたところは新しく大規模道路が完成した周辺で、大型店舗が沿道に展開している地域でもあり、買い物に便利な「暮らしやすさ」を買われているようです。反対に依然として下落が止まない地域は買い物の利便性にやや難点のある地域に集中しているようです。

 しかし難点は同時に利点でもあって、閑静な住宅地ということにもなりますので、「暮らしやすさ」は個々人の価値観によって変わることも考慮に入れなければなりません。つまり、いかなるライフスタイルを想定して住居を求めるのか、という個々人の主体的な考え方を元にして住む地域を決める必要があります。

2018年09月20日

「持家不要」論を考える。

 経済評論家の上念司氏が「家やマンションを買ってはいけない」と主張しています。不動産を生業としている私たちにとっては由々しき発言だ、と思いながら続きを読みました。
 上念司氏は「買ってはいけないモノ」として、まず「家やマンション」次に「自動車」で三番目に「時計」を上げています。なぜかというと、家は既に世帯数を上回り、日本では過剰となっていて、空き家率が全国平均で13%に達しているから、買うよりも処分する方が大変な時代になる、というのです。
 (自家用)自動車は平均稼働率が極め低く、週末に乗る程度でしかないから維持・管理費を考えればレンタカーの方が安くつく、という説明でした。しかしそれは鉄路が網の目のように張り巡らされ、乗り遅れても2分と経たないうちに次の電車が来る大都会での話に限定されるのではないかと思えます。(腕)時計は確かに携帯やスマホで充分に代替できるし、街中にも時計表示は随所に溢れています。
 さて、最初の「家やマンションを買ってはいけない」論を掘り下げてみれば、上念氏は「家は年齢や家族構成で必要とする形態が異なる、だから賃貸で生活して、人生のステージで必要とする家を選んで転居する方が合理的だ」として「家やマンションは資産ではなく、生き方を限定する負債でしかない」という論を展開されています。
 確かに子育て期はある程度部屋数のある広い家屋が必要です。しかし子供たちが巣立って夫婦二人になれば、それほど広い家は必要ない、という論理展開には納得させられるものがあります。しかも少子化で「家余り」現象が全国的に起きている昨今、むしろ家を畳んで解体処分する必要性が高まっているのも事実でしょう。だが「家やマンション」は「自家用車」や「腕時計」と異なって、「持家」か「賃貸」かを問わず人としての暮らしに「家」は必要です。家がなければホームレスとして街を彷徨うしかなくなり、人としての社会性を否定されかねません。
 人により「持家」派と「賃貸」派とに分かれるとしても、いずれも棲家を必要としていることに変わりなく、上念氏は「持家不要」論で不動産業者がこの世からなくなると言っているのではない、と安堵して筆を置きます。

2018年09月11日

「マンション」スラム化

 昨年9月号などで「週刊現代」はマンションの悲惨な近未来予想図を「限界マンション」や「2033年マンションスラム化」という記事で毎週のように掲載して警告していました。いうまでもなく「限界マンション」とは「限界集落」さながらにマンション居住者の過半数が65才以上の人によって構成されるマンションを指すものです。そこでは世代交代や住居者の再生はなく、マンション住民の高齢化と人口減少が続き、やがてマンションの機能が崩壊して人が棲まなくなり放棄される、というものだ。
 マンション機能とは入居者の暮らしを支えるエレベーターや配管などのインフラがキチンと維持・管理されて暮らしに支障のないことです。そのためには修繕積立金が不可欠ですが、支払いが滞ったり投資目的で購入したマンションなどは当初から管理組合に入るのを拒否したりする者がいたりして修繕積立金が不足するのは勿論のこと、居住者がいなくなって空家が増え、マンションのエレベータやエントランス掃除といった共用部分が荒れ果てることが懸念されます。そうすると棲むための居住性が著しく損なわれ、やがては「2033年マンションスラム化」の記事にある通りになる可能性がないとはいえません。
 その論拠として日本では1970年代がインフラ投資のピークで、その耐用年数は50~60年程度とされているため耐用年数がやって来る20~'30年代に改修のピークを迎えます。しかし現状で修繕積立金が充分に積み立てられているマンションは極めて少ないようです。1970年代から80年代にかけて建設されたマンションは管理組合がマンション業者によって運営されているケースが多く、業者によっては管理費を本体事業に回して倒産するケースまであるようです。
 さらに都心に陸続と建てられたタワーマンションなど7階を超える高層マンションでは外壁などの改修工事などで足場を組み立てることは不可能で、宙づりの足場を屋上から吊るす極めて費用のかかる工事を行うしかない、という問題もあります。しかもマンション購入者が賃貸にして入居者と所有者が異なるケースも多いことから、改修費の拠出をマンション入居者で話し合って合意形成を得ることは困難を極めると思われます。
 耐用年数があるのは一戸建て家屋でも同じことで、家を快適な居住状況に保つには絶えず維持・管理を行わなければならなりません。家は一戸だけが孤立して存在するのではなく、地域社会の一戸として社会インフラや地域の治安や安全性を保たなければならなりません。マンションではそうした地域との繋がりさえも希薄になりがちで、一戸建てと比べて「近隣騒音」も含めた治安や安全性もマンション全体の「マンション共同体の一員」として対処しなければならない側面があります。鍵一つで他者から干渉されない「家」が持てる、というのは幻想に過ぎないことを理解し認識すべきではないでしょうか。一戸建て以上にマンションこそ壁一つで隣接する入居住民とのコミュニケーションが必要とされているようです。

2018年08月10日

「特定空家等」に指定される前に

 この7月7日から8日にかけて、山口県東部も過去にないほどの豪雨に見舞われました。そのあおりか、いつも通っている道端の老朽家屋が二軒も崩壊しているのらは驚かされました。いずれも住人のない空家だったらしく、被災者はいなかったようです。
 ただその一軒は崩壊した家屋の材木が県道の一部を塞ぎ、交通に支障が出ていました。このように人が棲まない空家は急速に老朽化し、自然災害で崩壊して類災を及ぼしかねない危険な存在になります。
 こうした中、国により「空家等対策の推進に関する特別措置法」が平成27年5月に全面施行され、空家等の所有者又は管理者は、空家等の適切な管理に努めなければならないこととされました。
ー法に定める適正管理をしていない「空家」とは、
  ・そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれがある
  ・そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれがある
  ・適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている
  ・その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である
 このような状態になると、市町は「特定空家等」と判断し、所有者等に除却、修繕、立木の伐採などを行うよう助言又は指導、勧告及び命令することができます。また、その措置を命じられた所有者等がその措置を履行しない場合、行政代執行により除却などされることとなり、その費用は所有者等に請求されることになります。当然代執行による家屋等の除却は「公共事業」価格となりますが、所有者が請求された除却費に対して異議を差し挟むことは出来ません。
 また空家が市町から「特定空家等」として勧告を受けると、その敷地は固定資産税等の住宅用地特例による税の軽減がされなくなるため結果的に固定資産税が上がることとなります。
 ですから空家が特定空家等に指定される前に適切な管理を行うとともに、今後住む予定がなければ売却・賃貸、除却等の対応を検討しましょう。それは空家に限ったことだけではなく、使用していない田畑や土地などを放置する前に信頼できる不動産屋さんに相談されてはいかがでしょうか。

2018年07月12日

土地を棄てる

 土地がゴミのように捨てられる、といったら驚かれるかも知れません。都市部の人たちには考えられないかもしれませんが、山深い山間部や、街中でも三尺(幅90㎝)道しかない宅地は家の建て替えが出来ないため手付かずのまま放置された荒地が結構あります。そこで政府は「骨太の改革」で土地を棄てる権利と法手続きを法で制定しようとしています。
 現在の法律では不要な土地であっても買い手が付くまで勝手に所有権を放棄することは出来ません。土地を合法的に棄てるには相続まで待って、相続放棄によって棄てる他に方法がないのです。
 民法には「所有者のない不動産は、国庫に帰属する」(第239条)との規定がありますが、土地放棄の手続きを定めたルールはありません。そこで廃棄物処理のように、土地の所有者が一定額を納めれば放棄できる仕組みなどを検討すねことにしているようです。
 ドイツの民法には「所有者が放棄の意思を土地登記所に表示し、土地登記簿に登記されることによって、放棄することができる」(928条1項)と明記されています。放棄された土地をまず先占する権利は「州に帰属する」(同2項)とも定められています。ただ放棄された土地は、どこかに所有させなければならない義務もないため、ほとんどは「無主地」として管理されるが、そのコストは行政が負担せざるを得ない。ドイツ国内でも地域によっては、無主地の増加による行政の負担増が問題になっているそうです。

 日本でも相続放棄により棄てられた土地は国に帰属し、その土地を購入したい人は裁判所に申請して裁判氏をが定める「管理人」の下で競売に付し、落札することによって土地を入手できます。ただその手続きが非常に煩雑で専門家に頼まなければならないケースが多く、しかも土地の安い地方などでは管理人などの費用が土地の売却価格を下回ると想定されるため、申請者は事前に裁判所が決める供託金を積まなければなりません。
 そうした煩雑さのためか国有地となった相続放棄地の払い下げが現実にはなかなか容易に進まないのが現状のようです。そうすると放棄された土地の草刈りなどの維持・管理など、ドイツと同じように日本でも「土地所有の権放棄」に関する法律が制定された場合には、固定資産税の減収と同時に放棄地に関する諸費用を何処が負担するのかが問題になりそうです。

2018年06月14日

土地の私有権と公共性について

 土地の有効利用はいかにあるべきか、と真摯に日々考えているのは土地所有者だけではなく、行政も所有権者とは異なる立場で真剣に取り組んでいます。もちろん土地は財産の一つですが、地域の安全や景観や産業に大きく関わる公共性の高い財産です。土地ほど公共性のある、あるいは公共性を求められる財産は他に有りません。
 土地の公共性に鑑みて、行政は工業地域や住居地域、あるいは商業地域などの「用途地域」を定めて、土地利用に関して様々な制限を行っています。ただ都市計画に基づき「用途地域」が定められたのは昭和40年代で、それ以降ほとんど見直しがされていません。見直しを求める声が少しずつ上がっているのも確かです。
 しかし、昨今の土地利用に関して悲痛な声を耳にするのは「農地」です。土地利用に関して最も大きな制限は都市計画とは別の農業振興地域の指定です。その農振地域の中でもさらに地域内における集団的に存在する農用地や、土地改良事業の施行にかかる区域内の土地などの生産性の高い農地等、農業上の利用を確保すべき土地として「農用地区域」に指定されることがあります。農用地区域に指定された土地は、農業上の用途区分が厳しく定められ、原則としてその用途以外の目的に使用することはできません。農地に関してはこのように厳しい「規制の網」が被せられている場合があって、私たち不動産業者が扱う場合は慎重にならざるを得ません。
 ただ時代が大きく変わって、いつまでも農地として土地利用を限定するのもいかがなものかと首を傾げざるを得ない地域がないわけではありません。農地法で土地利用を厳しく制限するのと裏返しにあった食糧管理法に基づくコメの全生産量買い上げ制度が崩壊して久しい昨今、農地に対する規制だけが厳しく残っている現状は高齢化した農地所有者に対しては余りに酷だと思わないでもありません。側聞するところでは自身が交錯できない農地を耕作委託する場合、タダなのは当たり前で反対に委託料を耕作者に反当り年間5万円程度支払う地域もあるようです。
 農地も含めて、土地の有効利用と所有権とはどのようにあるべきか、そろそろ全般的な見直しを考えても良い時期ではないでしょうか。

2018年05月25日

「古民家ブーム」に一言

 ブームなのか古民家の売買物件を紹介して欲しい、という依頼を受けることが稀にあります。お話を伺えば購入した古民家にそのまま住むのではなく、手を入れ古民家の風合いを残しつつ冷暖房やキッチンやバストイレなど設備を最新のものにするようです。ただし、天井などを取り払い地松の梁や四寸柱などはインテリアも兼ねて見せるように、とか。
 そうした古民家をリフォームして蘇らせる、という趣旨のテレビ番組が古民家ブームを煽っているようです。しかし好事魔多しと言います。古民家は文字通り「古い民家」で、現在の耐震基準を満たしているとは思えないものばかりですし、購入者も生活スタイルに拘るあまりリフォームに際して耐震構造を取り入れることも殆ど考慮に入れられてないようです。
 それだけではなく、かつて社会問題となったリフォーム会社に一部不心得な業者がいることも事実で、中には建設業許可を得ていないリフォーム会社もあるようです。建設業法で建設業許可がなくても請負うことのできる工事は「軽微な工事」と「附帯工事」に限られています。つまり建築リフォームなどを請負い、施工することも建築業者の許可がなくても可能です。

 この場合の軽微な工事とは2つに分けられます。建築一式工事では工事1件の請負代金の額が税込1,500万円に満たない工事または、延床面積が150㎡に満たない工事とされています。建築一式工事以外の工事(例えば高さ2メートル未満の擁壁工事や造成工事など)では工事1件の請負代金の額がぜ税込み500万円に満たない工事は無許可建設業者でも出来ることになっています。
 ただし、軽微な工事であって建設業許可を取得していない場合は主任技術者を配置する必用はありませんが、軽微な工事であっても、当該業種の建設業許可を取得している場合は、主任技術者を配置する必用があります。つまり建設業者許可業者は主任技術者を現場に配置する義務があります。許可業者の方が安心なのは改めて指摘するまでもありません。
 注意すべきは建設業許可の取得が不要な工事でも、他の法律により行政庁への「登録」が必用な工事がありますので注意が必要です。
1,浄化槽設置をする場合・・・浄化槽工事業登録
2,解体工事を営む場合・・・・解体工事業登録、ただし、建設業許可のうち「土木工事業」「建築工事業」「とび・土工・工事業」の許可を取得している場合は不要です
3,電気工事を行う場合・・・ 電気工事業登録
 古民家ブームの落とし穴に落ちないように、古民家購入に際しては宅建業者にリフォーム計画なども相談して、許可建設業者を紹介してもらうい、耐震構造に改築するなどした方が安心だと思います。まずは古民家ブームに対する老婆心ながら。

2018年05月13日

住みよい街ランキング

 東洋経済新報社が全国の都市を対象に毎年公表している「住みよさランキング」というものがあります。「住みよさランキング」とは、公的統計をもとに、それぞれの市が持つ“都市力”を、「安心度」「利便度」「快適度」「富裕度」「住居水準充実度」の5つのカテゴリーに分類し、ランク付けしたものです。ランキングの算出には15の統計指標を用いて、指標ごとに平均値を50とする偏差値を算出、それらの平均値から上記5カテゴリーの部門評価および総合評価を算出しています。 今回の対象は、2017年6月19日現在の814都市(全国791市と東京23区)で、全都市を対象としたランキングは24回目となります。今年の「住みよさランキング」総合評価1位は千葉県印西市、2位が富山県砺波市、3位が愛知県長久手市となり、2012年のランキングで1位となった印西市が今回で6年連続の1位となりました。 印西市は千葉県の北西部、東京都心から約40kmの位置にあって、3市にまたがる千葉ニュータウンの面積の過半を占める住宅都市です。人口は2015年国勢調査で約9.2万人。東京と成田国際空港を結ぶ交通軸上にあって、2010年7月の成田スカイアクセス線の開業により、成田空港はもとより、東京都心や羽田空港へのアクセスも良好という好条件に恵まれています。市内には多数の大型商業施設が進出し、また大学や企業の研究開発拠点、金融機関のデータセンター等も集積しています。「利便度」の3位をはじめ、「快適度」12位、「富裕度」58位、「住居水準充実度」199位と5部門中4部門の評価が相対的に高く、今年もトップの座を譲りませんでした。 なお、印西市は東京区部の20%通勤圏であり、補正の対象となる「人口当たり小売業年間商品販売額」の指標において、補正を実施(東京区部の数値を採用)しています。

 さて下松市の2017年のランクは2016年の18位から順位を落として30位でした。評価として安心度と居住水準充足度の評価が高かったものの、利便性で大きく劣って順位を落としたようです。ちなみにトップ50に山口県から入ったのは下松市のみで、中国・四国ブロックでも下松市が1位でした。

 私たちの街が住みよい街としてトップ30にランク・インしているのを名誉として、不動産を業とする者として来年度は一位でもランクを上げて、住みよい街づくりの一助になればと努力していきたいと思います。

2018年04月26日

「死有地」の解消について

 土地の取得に関して、通常の売買による所有権移転以外に時効取得があります。土地取得時効とは民法162条で定められ、所有の意思をもって平穏かつ公然と他人の物を一定期間占有した場合、土地や不動産の所有権を時効によって取得できる制度のことで、長期取得時効は20年間、短期取得時効は10年間(※ただし占有開始時に善意かつ無過失であること)、それぞれ所有の意思をもって平穏かつ公然に他人の物を占有した場合に認められています。

 所有権以外の財産権を取得する場合については、民法163条によって規定されています。所有権以外の土地に関する権利は普通の人には馴染みが薄いでしょうが、地上権や地役権などがあります。そうした所有権以外の財産権を自己のためにする意思をもって平穏かつ公然に20年または10年これを行使することで取得できる、と定めています。その20年、10年という期間の違いは所有権の場合と同様に、占有を始めたときにそれが他人の財産権であると知っていれば20年で、そうとは知らず、知らないことについて過失がないならば10年となっています。

 昨今、世間で問題になっているものに土地登記簿上の所有者が既に他界されて、「死有地」のまま放置されている土地や家屋の取り扱いに関してがあります。それは相続財産の処分については相続人すべての同意書が必要とされ、かなりの困難を伴うからです。そこで国会で「死有地」に関して、10年を基準にして相続人の権利を限定していこうとする議論が始まっているようです。

 国籍に関しては米国などは「現地主義」を採用していて、米国で生まれた子供は自動的に米国籍を取得します。ですから日本人が米国で出産した場合、子供は日本籍と米国籍の二重国籍となりますが、二十歳の時に自身の意思でどちらかの国籍を選択することになります。  そうした「現地主義」と同様に土地に関しても「租税負担主義」を採用してはどうかと考え、提案したいと思います。相続人に名義が変更されていない場合でも「死有地」の固定資産税などは市町村の課税課で居住者や管理者等の現状等を勘案して納税者を定め、納付書を送付しています。そうした不動産を管理し租税を10年以上も平穏に納付した者を不動産の所有者とみなして登記簿の名義を変更できる、とする規定を設けてはどうでしょうか。不動産を業として営む者として、実質的に不動産に関する租税負担を支払っていた者も他の相続人と同等の権利しかないという理不尽さを一日も早く解消して頂きたいものです。

2018年04月10日

29年の公示価格と下松の景気

 昨日、全国の公示価格が発表されました。下松市の公示価格は2000年から18年間連続マイナスを記録しています。昨年の下げ幅は-1.52と地方が下げ止まって上昇に転じた中で、まだ下げ続けているのはなぜでしょうか。
 下松市の公示価格が上昇率最大を記録したのは平成元年の60.09%で、当時の総平均公示価格坪単価は28万3805円でした。昨年の総平均公示価格では坪単価14万5007円でした。まさに土地価格はバブル当時の半値まで下落しました。
 たた山口県内でも柳井市などが地価下落から4.74%の上昇に転じています。下松市も近々上昇に転じると思われます。
 土地価格の変動は景気を反映するといわれていますが、また土地価格が上昇に転じなければ土地取引が活発にならないという因果関係があります。価格が下がるのなら安くなるのを待とうという心理が働くためです。
 土地取引が増えれば新築着工件数が増えて、家に関する家具や家電製品の売れ行きを喚起します。そのように地域経済に大きな影響を与える土地取引が活性化するためにも地価の動向が気になります。公示価格の推移を見ますと、下松市は今年あたりが底で、来年から上昇に転じるのではないかと思われます。来年あたり下松市全域の経済が活況を呈するものと期待します。

2018年03月28日

中心市街地は動く

 駅前が寂れたことなどから、誰も中心市街地がいつまでも町の中心地だと思う人はいないと思います。それは下松市のみならず全国各地の駅前通りがシャッター通りになっていることから推測されるからではないでしょうか。
 駅前の繁華街が地盤沈下したのは鉄道から自動車へと移動手段の変化に伴って現れた現象です。下松市に例をとってみますとかつて花岡八幡宮の門前宿場町がこの町の中心市街地だったようですが、戦後に国道188号線に沿った鉄路が山陽本線となり沿海部に大工場が立地したことに伴って、下松市の中心地が内陸部の花岡から海岸部へ移りました。
 その後、大規模商業施設の進出により大手町周辺へ中心が移動し、さらに中央沿線に商業施設が展開し、その後も中央線周辺への商業施設の進出が続いて中心市街地は徐々に移りました。現在も道路沿線の面的整備から地域全域が発展し続けています。そうした動きに押されるようにして「ザ・モール周南」からyou me townへと衣替えしようとしています。これも一つの時代の終わりと、次の時代の幕開けではないでしょうか。
 従来の「中心市街地」に拘泥して中心市街地を固定的に捉えるのは時の流れに棹差すものではないでしょうか。駅前市街地に感じる「懐かしさ」は懐かしさとして大事にしながら、新しい時代の要請を満たすべく対応していくのが私たち不動産業に携わる者の務めではないかと思います。
 中心市街地は時の流れとともに動くものだと心して、中心市街地に蘇生術を施したい気持ちも分かりますが、市民の税を無駄にしないようにしなければならないと思います。お隣では駅に図書館を設置してブックセンターとコーヒーショップを併設すれば中心市街地が蘇るのではないかと莫大な投資をしているようですが。

2018年03月19日

平成と共に来たり、平成と共に去りぬ

 今年早々のビッグ・ニュースはザ・モール周南が広島に本社のあるスーパー「イズミ」に身売りして「you meタウン」に衣替えするということではないでしょうか。いうまでもなくザ・モール周南は通商産業省(現・経済産業省)の「特定商業集積法」第1号認定を受けて下松市などが中心となって整備した商業・文化集積施設「下松タウンセンター」の商業施設として、1993年(平成5年)11月5日に[1]旧日本石油精製下松製油所末武貯油所跡に開店したショッピングセンターです。施設は西友ザ・モール周南店(西友としては中国地方唯一の店舗)、ザ・モール周南専門店街、食遊館、および下松商業開発が運営する地元商業者による41店舗の専門店街「星プラザ」により構成され、「星プラザ」の営業時間・店休日は西友、ザ・モール周南専門店街と異なる。建築面積17,000m2に鉄筋コンクリート造り5階建て延床面積77,666m2の建物で、1階から3階までが売り場で、4階・5階と屋上が駐車場となっています。
 開業当初は光・下松・徳山などを中心とする周南広域圏を商圏とする地域商業の核施設として大いに賑わったものです。しかし直近に「サンリブ・マルショク」が開店するなど、新しいショッピングセンターやショッピングモールなどが相次いで開店し、ザ・モール周南にかつての勢いがなくなり、撤退したテナントの空き店舗跡が目立つようになっていました。
 しかし下松市で消費される個人消費額・商業パイが減少したわけではなく、下松市のすべての商業施設の売上高の総額は現在でも増加傾向にあると思われます。ただ同一商圏内でのパイの奪い合いが消費増加を大幅に上回っていることにあるのではないでしょうか。つまりフランスの経済学者ビケティが著した「21世紀の資本論」で述べている「資本の利益率は労働利益率を上回る」という理論そのものが下松で顕在化したということではないでしょうか。
 日本国内は明治維新直後に断行された廃藩置県により全国一律の「グローバル化」がなされ、消費者の移動の自由はもとより、全国一律の法適用により「ヒト、モノ、カネ」が行政区分を越えて自由な移動が保証された、つまり日本国内だけを考えれば幕藩体制の各藩の諸制度が日本の国家支配による一元化により「グローバル化」が達成されていました。そして最後の大資本の参入障壁だった「大店法」が撤廃されたことにより、大型店舗が自由に出店できるようになりました。

 グローバル化とはこうした同一制度下での弱肉強食社会ということではないでしょうか。それを世界規模で実現しようとしているのがTPPやFTAということなのでしょう。私たち不動産業者も地域プレゼンスのない、まさにグローバル化された商圏で競い合っています。ザ・モール周南は平成の幕開けとともに開業し、平成の終焉とともに閉店することになりました。しかし私たちはピケティ氏の「新資本論」の論理によって大資本に凌駕されないように、下松の地域不動産業者として頑張っていくしかないと思うこの頃です。

2018年02月24日

沽券について

 不動産業者として関係の深い土地の所有(権)について日本の歴史を少しばかり辿ってみたいと思います。 日本で土地の私有権が認められたのはかなり昔からだったようです。中学校の歴史で学んだように奈良時代の前期に「三世一身法」(723年)また聖武天皇の時代に「墾田永年私財法」(743年)などは土地私有を認めている証拠になります。 その土地に関して「沽券」と呼ばれるようになったのは平安時代に入ってからのようで、そもそも沽券とは「去り状」「避文」(さりぶみ)のことで、手許から離れることを表していたようです。それが土地を売買して所有権が移転する際に文書として「沽券(こけん)」を書いて、所有権が自分の手許から離れたことを証文として残したのが始まりで、後に「沽券」が土地の「権利証」のような扱いを受けたようです。 江戸時代になると東海道中膝栗毛に「沽券」は登場し、現代の「権利証」(不動産登記情報)と同様な扱いを受けていたようです。ただ当時は現代のような登記役所(法務局)がなかったため、土地を巡る争いは絶えなかったようです。 ちなみに「沽券に関わる」という言い方は体面や品位を汚すことに対する教示を示す言い方で、男性にだけ用いられていました。土地の所有権者の多くが男性だった当時の常識を反映したもののようです。

2018年02月23日

ブログ始めました

十年一昔といいますが、下松市で不動産業を始めて十年が経過しました。これも皆様方のお蔭と感謝いたしています。今後とも精進してより良い住宅地のご提供を行い、皆様方のより良い人生のステージを築くお手伝いが出来ればと願っています。何卒宜しくお願い申し上げます。

2017年09月27日