滅失登記とは

 古民家ブームについていくつかブログを書いてきましたが、今回は建物がないにも拘らず、建物の滅失登記が行われていないケースについて書いてみようと思います。
 いうまでもなく建築物を解体処分したり、火災で焼失などで滅失したときには「滅失登記」を行って登記を閉鎖しなければならないのは云うまでもありません。滅失登記は、建物の解体後1ヶ月以内に行わなければなりません。申請を怠ると、10万円以下の過料(罰則)に処せられることもあるため注意が必要です。(不動産登記法第57条、第164条)しかし、現実には、滅失登記をしないまま登記簿上に建物が残っていることがあるため注意が必要です。
 そこで管轄の法務局に登記申請書を提出する場合について必要書類ですが、滅失登記に必要な申請書類は次の通りです。
1,建物滅失登記申請書
2,(申請を代理人に頼む場合は)委任状
3,建物滅失証明書
4,解体業者証明書及び印鑑証明書
5,建物周辺の地図
6,現地写真
7,建物の登記簿謄本及び図面
 等の申請書類を2部作成し、所轄の法務局に提出します。
 問題なのは「建物滅失証明書」の取得です。もちろん滅失登記を行う場合は解体工事の請負人から「建物滅失証明書」を提出してもらって滅失登記申請書に添付するのですが、解体から時間が経過して工事業者がわからなかったり、入手した証明書を紛失したりするなどして、「建物滅失証明書」が取得できない場合があります。
 そのような場合は所有者が作成する上申書を添付して「建物滅失証明書」の代わりに添付して登記するケースがあります。

上申書の作成

 一般的には建物を特定できる情報や建物が存在しない旨などを記載し、実印を押印のうえ印鑑証明書を添付します。
 ただ亡くなった人が滅失登記をしていなかった場合の取り扱いですが、相続人は滅失登記の申請義務を引き継いでいるので、相続人が滅失登記を申請することになります。
「標題部所有者又は所有権の登記名義人が表示に関する登記の申請人となることができる場合において、当該表題部所有者又は登記名義人について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人は、当該表示に関する登記を申請することができる。」と不動産登記法30条に定めてあります。
 亡くなる前に取り壊している場合は、そもそも建物を相続していないので、相続登記は気にしなくて良いです。
 またたとえ相続人が複数いたとしても、他の相続人の同意も不要となります。既に建物は取り壊されていますので、滅失登記を申請しても他の相続人に不利益は発生しないからです。ちなみに、相続登記をしていても、滅失登記は共有者の一人から申請できます

2022年10月01日