不動産業界を取り巻く未来予想は明るくありません。根本的な原因には人口減が上げられます。、人が減少していく中で不動産需要が拡大する、と予測する評論家は一人もいません。現実に財務省の「年次別法人企業統計調査」によると、不動産業界全体の売上高は2018年46兆5,363億円(対前年比+7.1%)だったものが2019年に45兆3,835億円(対前年比-2.5%)、2020年44兆3,182億円(対前年比-2.3%)と2018年をターニングポイントとして減少へ転じています。
それは国土交通省の「住宅経済関連データ」の「新設住宅着工戸数の推移」を見ても明らかです。2009年には775,000戸まで落ち込んでいましたが、翌年から増加に転じて、2019年まで緩やかに上昇し2018年には935,000戸にまでなっていました。しかし翌年にはコロナの影響もあって2020年は812,000戸まで激減しました。コロナ禍が終息したとして、果たして新設住宅着工戸数が回復するのか、確実に見通せる材料は何もありません。
不動産業界の未来に確実に影響を与えるのは高齢化と少子化ではないでしょうか。残念ながら両方ともブラスに働くとは思えません。むしろ衆目を集める不動産関連ニュースは「廃屋問題」や「空家問題」などではないでしょうか。しかし資源の活用や地域環境の保全、といった観点から中古住宅を見直す潮流も出て来ています。テレビ報道などで特集されることもありますが、古民家の再生や空家リフォームなどです。
中古住宅を積極的に買い取り、それを再生して販売する「ゼロ円住宅再生」などといったyou tubeが結構な人気を博して、再生回数も伸びているようです。もちろん不動産投資の一形態ですから、それなりのリスクがあることも承知しなければなりませんし、需要予測を間違ったら丸々損を抱え込むことになりかねません。また古民家再生を食い物にする「悪徳リフォーム企業」が暗躍する事態も想定しなければなりません。以前このブログでご注意を喚起していますが、リフォームの請負金額が1,500万円以下なら「建設業許可」がいりませんから、誰でもリフォーム会社の看板を掲げることが出来ます。そうした技術や経験のない素人同然のリフォーム企業を見抜かなければ「古民家再生」が飛んでもない結果になることもあり得ます。そしてまた「ゼロ円住宅再生」にはそれなりのリスクが当然あることも、顧客にしっかりと説明しておく必要があります。その上で、資源の有効活用といった面から、空家の再利用を促進していきたいものです。