日本は国土面積に占める森林面積は約66%(森林率約7割)で、先進国の中では有数の森林大国です。しかし戦後の一時期材木業が繁盛したものの、ここ数十年は外国から輸入される材木に押されて、日本の林業は斜陽産業になって久しい。山を売りたい人はいても、山を買いたい人などいない、というのが常識でしたが、ここに来て、俄かに情勢が変化しているようです。
キャンプする芸人youtuberと、コロナ禍で「密」を避けるためか、昨今はキャンプブームで何処のキャンプ地も土日ともなれば大変な賑わいを見せている。そうしたキャンプする人たちの中にはキャンプ場でのキャンプに飽き足らず、自分の山でキャンプをしたいと思う人も増えたて来たようです。
やはり人気芸人 you tuberのヒロシ氏やじゅんいちダビッドソン氏などが山を購入してキャンプする映像をネットにアップしていることから、一般人キャンパーの間でも山購入するのがちょっとしたブームになっているようです。そこで今回は「山の購入」に際しての注意点を幾つか上げてみます。
山も「不動産」ですから基本的に宅地購入と何も変わりません。ただ山の特殊性として「実測売買」ではなく「公簿面積売買」が普通のようです。なぜなら山は広大ですから実測したら測量費が購入額の何倍もかかってしまうことにもなりかねません。
日本では昭和の終わりごろに全国的に「国土調査」が実施されました。一筆調査ともいわれますが、隣接地主立会いの下で測量士による実測がなされています。ただ隣地の地主の立ち合いが困難な場合や、境界が不明確で国土調査の時点で境界が決まらないなど「筆界未定」といわれる境界線が決められなかった山も多々あります。そのため改めて実測するのではなく、公簿面積と公図を頼りに売買するケースが殆どです。
昔の山の面積は目盛りの着いた縄を使って測量していました。地主たちは山の面積により税金が課されるため、面積を狭く申請する傾向がありました。そのため実測すれば必ずといって良いほど面積が増えます。それを「縄伸び」といいます。ですから「公簿面積」で取引しても損になることはありません。
次に山林購入に際して注意すべき点として、山であっても基礎工事を伴う家屋を新築するには建築申請が必要です。また斜面を平坦地に造成する場合には「開発申請」が必要な場合もあることに留意しなければなりません。そして電気がなく、最寄りの電柱から遠く離れている場合には、自己負担を求められる場合もあります。水道に関しても購入土地の近くに水道施設がない場合は自己負担で水道管を引かなければならない場合もあることを承知しておく必要があります。幸いにして山に「沢」などがあって、「沢」から水を引ける場合には浄化装置や滅菌装置などを付ければ引用として使用できるのか水質などに関して行政当局に問い合わせることも必要です。下水に関しては公共下水用途地域でない場合は浄化槽の設置などを行う必要があります。
ただテントを張ってキャンプだけを楽しんで帰るだけなら、別に何の制約も規制もありません。ただ木を伐採する場合には行政上の制限がないかどうかを確認してから行う必要があります。保安林や防風林に指定されている場合は、それなりの法令による規制を受ける場合があります。
また素人が材木を伐採する際に、様々な事故に巻き込まれるケースもあるため、チェンソーなどの購入に際しては専門家の指導を受けるようにして下さい。技能の習得は勿論のこと、安全に関する法令等に関しても知識を得ておく必要があります。いずれにせよ、それぞれの専門家や行政に問い合わせて法令に触れず、安全で快適な林間キャンプを楽しんで下さい。