出資禁止法や金商法との関係は?

「みんなが大家さん」というテレビコマーシャルがあります。大家さんになれば2か月に一度、年利7%相当の配当があって豊ら暮らしをしていける、という夢のような「投資勧誘」話です。
不動産業をしていると「みんなが大家さん」は不動産業者がやっているのか、と問われることが良くあります。確かに「みんなが大家さん」を経営している「都市綜研インベストファンド株式会社」は不動産業者登録しているようです。そうした意味では不動産業者ですが、「都市綜研インベストファンド株式会社」のホームページを見ると必ずしもアパートやマンション経営に特化しているとは言い難いようです。
「みんなが大家さん」というスローガンから受ける印象は賃貸住宅を「都市綜研インベストファンド株式会社」が代理して行い、その会社にみんなが投資しているから「大家さん」ということなのか、とテレビ・コマーシャルを見た人たちは思うかも知れませんが、事業は賃貸不動産のみならずホテル経営やバイオテクノロジー投資といった広範な投資活動を謳っています。
ますます怪しさ満載ですがネットの「都市綜研インベストファンド株式会社」情報では「安定性、収益正ともにバランスの良い資産運用と評判です」と出てきます。それも「やらせ記事」なのかと疑いたくなりますが、法治国家・日本で悪辣な詐欺が堂々とテレビCMを流せるとも思えません。
しかし「みんなが大家さん」のCMでは1口100万円からで元金保証、年利7%配当を謳っているのはどう考えても「本当かな」と首を捻らざるをえません。「都市綜研インベストファンド株式会社」のホームページで会社決算を見ようとしましたが、なぜか幾らクリックしてもPDFファイルが開けません。資本金1,000万円の会社で「みんなが大家さん」から集めた「投資資金」が
幾らあるのか、そして保有する資産が幾らあるのか会社の健全性を知る手掛かりが得られません。
古い話ですが、2017年9月12日、名古屋の有力寺院、八事山興正寺をめぐる不透明なカネの動きに名古屋地検特捜部のメスが入ったことがあります。それは12年3月、興正寺境内地の約6万6000平方メートルを隣接する中京大学に138億円で売却したが、受け取った代金の大半が短期間のうちに東京都内のコンサルティング会社などに業務委託料の名目で流出していたというものでした。その事件に関係していた人物の一人が「みんなが大家さん」の経営者ではないかともいわれています。
 赤いバラには刺がある、といいます。この低金利の時代に元本保証で年利7%などという、そんなうまい話があるのでしょうか。

2022年01月01日