不動産購入と固定資産税

 梅の季節も終わり、転勤などの多い季節になりました。
 不動産も忙しい時期を迎えますが、例年と少しばかり様子が異なるようです。それはコロナ禍の影響が出ているのか、タワマンが持て囃された都会ですら一戸建てが見直されているようです。これまで不動産需要が田舎から都会へ、さらに都心へと向かっていた消費者の目が、コロナ禍を境にネット環境の整った田舎へ、それも都会とアクセスの良い田舎へと関心が逆転しているようです。
 しかし地方といっても「ぽつんと一軒家」ではなく、新幹線の駅や空港からから比較的近い都会と交通アクセスのよい田舎が任期のようです。ともあれ、もはや地方は見捨てられた「僻地」ではありません。
 しかし一戸建てを購入するとなると気になるのが土地や家屋に関わる税金、つまり固定資産税のことです。ご承知のように土地や家を所有していると毎年「固定資産税」と「都市計画税」がかかります。それらの税金とはいかなるものか、簡単に説明します。固定資産税や都市計画税は土地や家屋の「課税標準額」によって決められます。
 その計算方法は以下の通りです。
   固定資産税=「課税標準額」×1.4%
    都市計画税=「課税標準額」×0.3% (都市計画区域のみ)
 となります。
  ただ家屋が立っている場合は「住宅用地の特例」として固定資産税や都市計画税が一定の条件で減免されます。その概要は以下の通りです。
 一戸当たり200㎡までの部分  固定資産税×1/6   都市計画税×1/3
 一戸当たり200㎡を超える部分   〃  ×1/3     〃  ×2/3
 ですから家が建っている方が「お得」ということがいえますが、棲めなくなった家でも取り壊さない方が「お得」かといいますと、2015年に「空家等対策の推進に関する特別措置法」が制定され、市町村から「特定空家等」に指定され、必要な改善措置の勧告の対象となった場合には「住宅用地の特例」が使えなくなり、固定資産税が上がります。

 それでは課税標準額とは何かといいますと、市町村によって評価された「固定資産税評価額」によって決まります。「固定資産税評価額」とは、固定資産税を課税するために市町村が評価する「「固定資産=家や土地」の価格のことです。
 そして固定資産税や都市計画税は所得税や住民税と違い、固定資産そのものに課税されるため、所有者本人の支払い能力に関係なく課税額を決定されるのが特徴です。
 土地の「固定資産評価額」は「適正な時価」であり、通常取引で成立する価格であるとされています。公表されている「時価公示価格(標準価格)」の約70%が固定資産税評価額とされるのが一般的です。
 家屋の「固定資産評価額」は「再建築価格方式」によって評価されます。再建築価格方式とは「まったく同じ建物を再建築したときにかかる金額」を計算し、算出された金額に築年数分の減額補正をして評価額を決める仕組みです。 築年数分の減額率を「経年減点補正率」と言い、基本的に戸建もマンションも計算の仕組みは変わりません。固定資産税評価額は、建築費用のおよそ70%になると言われています。 再建築価格方式では物価変動の割合に応じて工事原価で計算するため、実際の建築時にはタイムセール的に安く建築していても、評価額を計算するときには適正価格になるので注意が必要です。
 ただ家屋は古くなるにつれて「経年減点補正率」によって固定資産税評価額が下がりますが、金額が0円になることはありません。最終残存率という下限が決められており、最低でも2割は残り続けることになります。 つまり、実際に住めないような状態になっていても、最低限の税金はかかり続ける仕組みです。古くなった空き家でも課税され続けますので、ただ所有し続けるのは損することになりかねません。最後に固定資産税や都市計画税はその年の1月1日の時点での所有者に納付書が送付されることを書き添えておきます。

2021年03月01日