コロナ後の社会-2-

 先月のブログで「コロナ後の不動産業」はどうなるのか、と私なりに予測してみました。その大前提として現在蔓延している新型コロナウィルスはここ当分の間、二三年は収束しないだろうという前提での予測ですが。
 なぜ当分の間、新型コロナウィルスの蔓延は収束しないと推測するのか。それは未だ特効薬が開発されそうもないからです。加えてワクチンの開発・製造は端緒についたばかりで、これから臨床試験などで認可・実施まで時間がかかるとおもわれます。退陣される安倍氏が来年の早い時期にワクチンを国民全員分を用意する、と発言されましたが、それは恐らく不可能かと思います。なぜなら新型コロナウィルスの変異速度が速く、せっかく開発され製造されたワクチンが的確に効果を発揮するのは困難だと思われます。従来型のワクチンは新型コロナウィルスには通用しないと思われるため、新型コロナウィルスの蔓延は暫くの間続くとの前提で推測するしかありません。
 確かにニューヨークでは一日当たり新型コロナウィルス患者発生人数が10人前後と落ち着いて、ほぼ収束した常態にあります。一時は爆発的な感染拡大に見舞われて、州兵がセントラル・パークに野戦病院のテントを無数に張って感染患者を隔離したほどでした。それは徹底した都市封鎖と自宅待機を強制し、同時にPCR検査をすべての人に実施して、感染患者を徹底して隔離した対策が功を奏したようです。
 しかし日本では「検査と隔離」を極めて限定的にしか実施していませんし、自粛要請も不徹底のまま「GO TO キャンペーン」を始めたため、新型コロナウィルス感染を沖縄をはじめ全国に拡散してしまいました。だから「集団免疫」が定着するまでの数年間は新型コロナウィルスの感染患者は現在の水準で発生し続けると想定するしかありません。
 そうすると、集客産業(エンターティメント、スポーツ・イベント、講演会や講習会、夏祭りや花火大会、等々の観客事業や、冠婚葬祭からカラオケ、飲食業といった「密」が前提となる業界)はまずアウトですし、観光業界も低調なまま推移すると予測するしかありません。
 その反対に多くの人から支持を集めそうなのがネット配信のyuo tubeや個々人が楽しむ登山やキャンプといった野外型の趣味ではないでしょうか。それも有名な場所ではなく、近場の余り知られてない地域密着の山やキャンプ場ではないでしょうか。もちろん、テレ・ワークは常態化するでしょうし、小・中・高校もネット回線を使った授業の実施なども考えなければなりません。
 不動産業界も上述した社会情勢を前提とした事業展開しなければ生き残るのは困難かと思います。ブームが去り価格下落の著しい地方の「別荘地」が見直され、人気物件として掘り起こしが来るのではないでしょうか。そして本格的な「地方の時代」を新型コロナウィルスの蔓延が結果としてもたらすかも知れません。そこに中国とのデカップリングがあって、世界(主として中国)へ拡散していたサプライチェーンの国内回帰の投資が盛んになると思われます。それも地価や規模の確保から大都市圏内ではなく、地方での工場立地を求めるでしょうから、コロナ後のソーシャルディスタンスと相俟って、地方の時代が本格的にやって来ると思われます。

2020年09月01日