「空家」で山口県との協調を

 全国的に空家が問題になっているようです。山口県でも空家が12万6千戸もあり、全家屋に占める割合は全国平均よりも1%ほど高い17.6%にのぼっているようです。
 空家の何が問題なのかというと、いわゆる家屋の「放置」により老朽化が進み、シロアリや害虫や小動物の巣になりやすく周辺環境に悪影響を及ぼすと同時に、不審者の侵入などで失火などになりかねないからです。しかも通学路や道路に面して建っている場合には、崩落などにより直接的な被害を通行人に及ぼすことも考えられ、地方自治体などで家屋撤去の「強制執行」措置を取りやすくする法律も制定されました。
 しかし「空家」をすべて撤去するというのは経済的にも資源再生利用の面からも合理的とはいえません。出来るモノならリフォームやリノベーションにより新たに人が棲めるようにする方がより良いのではないでしょうか。山口県などもそうした「空家対策」として「棲む」前提で空家のリフォーム費用などを一部補助しようと条例を制定しました。それは省資源や地域社会の維持にとって望ましい政策だと思います。
 ただ山口県内だけを対象として考える政策では余りに効果が限定的です。山口県の「空家」の現状と、県の対応策を広く全国に知らしめなければなりません。そして「空家」をリフォームなどにより山口県に移住する人たちに廉価な住宅として提供できるシステムを作って、大都市圏を主なターゲットとして広報活動を行う必要があるのではないでしょうか。
 その場合、山口県は県下の不動産業者が「家屋」を含めて不動産を扱う専門家として活用されることを望みます。新しい団地造成はもとより、既にある宅地や家屋を活用する術にも不動産業者は長年の経験と知恵を蓄積しています。宅建協会などがすべての不動産業者の代表として県に働きかけて、県と県下の不動産業者との「空家情報」の共有化を働き掛けて欲しいものだと思います。

2019年09月02日