中心市街地は動く

 駅前が寂れたことなどから、誰も中心市街地がいつまでも町の中心地だと思う人はいないと思います。それは下松市のみならず全国各地の駅前通りがシャッター通りになっていることから推測されるからではないでしょうか。
 駅前の繁華街が地盤沈下したのは鉄道から自動車へと移動手段の変化に伴って現れた現象です。下松市に例をとってみますとかつて花岡八幡宮の門前宿場町がこの町の中心市街地だったようですが、戦後に国道188号線に沿った鉄路が山陽本線となり沿海部に大工場が立地したことに伴って、下松市の中心地が内陸部の花岡から海岸部へ移りました。
 その後、大規模商業施設の進出により大手町周辺へ中心が移動し、さらに中央沿線に商業施設が展開し、その後も中央線周辺への商業施設の進出が続いて中心市街地は徐々に移りました。現在も道路沿線の面的整備から地域全域が発展し続けています。そうした動きに押されるようにして「ザ・モール周南」からyou me townへと衣替えしようとしています。これも一つの時代の終わりと、次の時代の幕開けではないでしょうか。
 従来の「中心市街地」に拘泥して中心市街地を固定的に捉えるのは時の流れに棹差すものではないでしょうか。駅前市街地に感じる「懐かしさ」は懐かしさとして大事にしながら、新しい時代の要請を満たすべく対応していくのが私たち不動産業に携わる者の務めではないかと思います。
 中心市街地は時の流れとともに動くものだと心して、中心市街地に蘇生術を施したい気持ちも分かりますが、市民の税を無駄にしないようにしなければならないと思います。お隣では駅に図書館を設置してブックセンターとコーヒーショップを併設すれば中心市街地が蘇るのではないかと莫大な投資をしているようですが。

2018年03月19日