不動産相続にも「時効」の適用を。

全国で問題となっている「所有者不明土地」をめぐり、法務省は11日、所有者が判明しない場合でも、裁判所の手続きを経て、土地の売却を可能とすることなどを盛り込んだ対策の骨子案を公表した。
 所有者の氏名や住所が正しく記載されていない「変則型登記」の解消が狙い。同日から実施する意見公募(パブリックコメント)を踏まえ、通常国会に関連法案を提出する方針だ。(以上「時事通信1/11日付記事」より引用)

  先月のブログで「不動産登記法の改善を望む」と題して、不動産相続に関して所有権移転登記されない不動産の問題を投稿したばかりで、新年早々に「所有者不明土地」に関して前進することになり法務省の動きを心から歓迎します。
 実際に「所有者不明土地」は登記簿上に記載されているの所有者が既に死亡し、そして相続登記されないままかなりの年数が経過している場合にありがちです。所有者を確定するために戸籍などから相続人を捜しても該当者が見当たらず、従って取引も出来ないまま放置されている土地は山番地などに多く見られます。
 そうした「所有者不明土地」に関して、法務省は裁判所の手続きを経て土地売却が可能になる対策法案を通常国会に提出するという。まさしく朗報というべきですが、それなら所有者の死亡後に一定期間所有権移転登記されない土地に関して、一定の要件を備えている申立人を裁判所は「相続人」と認定する法案も提起して頂きたいと思います。
 「所有者不明土地」に関しても、おそらく時効と同様な観点から、たとえ後に相続人と名乗り出る者があったとしても「権利の上に眠る者は保護されない」との時効の考え方を適用すべきではないでしょうか。たとえば「相続移転登記」されないまま相当の年数(10年程度か)を経過した不動産に関しては、実際に当該不動産の固定資産税を支払っているなどの実態があれば「所有権移転の申し立て」を裁判所に行い、判決を以て「所有権移転」が認められる、という法律が制定されるなら、全国にゴマンとある所有権が相続人に移転されないまま放置されている不動産が売買可能になります。
 地方の不動産価格は驚くほど低いため、登記簿上の所有者が死亡していて、相続移転がなされないまま放置されている土地の売買を手がけるには費用が土地売却金額と見合わないケースがほとんどです。現在ではすべての相続人から「相続放棄」なり「相続分登記」を行った上でしか所有権移転できないため、すべての相続人の同意なり印鑑なりを揃える費用が嵩張るのを理由に、土地売買を諦める場合が多いのが現実です。そのため土地の有効利用が妨げられたまま放置され、さらに荒廃を招く事態になりかねません。そうしたことを解消するためにも「権利の上に眠る者は保護されない」という時効の考え方を適用ずべきではないでしょうか。

2019年01月15日