不動産業者と「消費増税」

 土地売買に消費税はかかりません。そもそも土地は「消費」して消えてなくなるものではないからです。そういう意味では土地売買だけをしている不動産業者は消費増税だと無縁と思われがちですが、事実は大いに関係があります。なぜなら土地購入は「家」を建てるために購入するからです。実際に消費増税は不動産業者にとって手痛い影響があります。
 2014年の消費増税8%の時も影響は甚大でした。なにしろ「家」は高額な商品ですから家の価格が2,000万円なら税率が1%でも税額が20万円になります。それが3%も上がったのですから新築契約を結ぶお客様は60万円もの負担増ということになります。前回の消費増税で日本経済は落ち込み、GSPは前年比マイナスを記録しました。
 そこで今回は消費増税の影響を少なくするために、値の張る自動車や「家」に関して増税緩和策をどうするなと政府は腐心しているようです。しかし最も良い政策は消費増税しないことです。

 不動産業者の感覚からいえば、税収増を図るにはまずデフレ経済からの脱却に全力を注ぎ、日本経済を力強く成長させることが最善策ではないかと思います。
 高度経済成長期のように7%経済成長とはいわないまでも、数%ほど経済成長すれば成長に伴う物価上昇、つまりインフレになります。インフレ率が2,3%でれば1000兆円を超えた国債は実質的に20~30兆円も償還されたことになります。

 デフレ化経済は不動産業者にとって過酷です。なぜならデフレ経済は実質的に貨幣価値が上がり、貨幣価値が上がることにより実質的に借金が増えるからです。そのため長期ローンを前提とする不動産市場が冷え込むのです。
 私たち不動産業者のためにも確かな経済成長政策が心から待たれます。消費増税には反対ですが、走り出したら止まらないのが「政府」のようです。何とかならないものでしょうか。

2018年11月02日